■治療費以外に年間55万円かかるという調査も
ただし、これはあくまでも保険診療への助成。“がんは治療費以外にもお金がかかる”のだ。
ニッセンライフなどががん患者らを対象に行ったアンケート調査によると「がん治療費以外の年間費用」について「20万円以上50万円未満」と答えた人が最も多く全体の24%を占めた。しかしなんと「100万円以上」と回答した人が全体の17%も存在したのだ。 「治療以外にかかる費用として代表的なものが差額ベッド代。患者本人が望まなくても、病院の空きベッドの状況で差額ベッド代がかかる部屋が割り当てられてしまうことは珍しくありません」
厚生労働省の調査によると、’19年7月時点での差額ベッド代の平均額は1日6354円だった。
「また、抗がん剤による脱毛で、医療用ウイッグを利用する人も多いでしょう。病院と家の往復ならば、数千円のウイッグで対応している人もいます。しかし直接人と会う仕事をしているなどの場合、自分の頭の形状に合わせてウイッグを作るとなれば、費用も20万円ほどかかってきます。自治体によっては、助成金を出している場合もあるので確認してみてください」
抗がん剤治療による体力の消耗も、家計の負担につながる。
「行きは電車を利用しても、治療後は、タクシーでなければ帰れない人もいます。さらにふだん料理をする人ならば、治療日は総菜を買ったり、出前を頼むかもしれません。このようにして、じわじわと出費が重なっていくんです」
サプリなどの健康食品への出費も、考慮しておくべきこと。前出のニッセンライフの調査では、サプリの購入にかかった年間平均費用は15.3万円だったが--。
「相談者の中には健康食品に50万円、100万円と出してしまう方も少なくありません。親戚や友人から紹介され、やめたくてもやめられないと悩んでいる人もいるのが実情。効果が医学的に証明されない商品もあるので、要注意です」
このように多額の出費が見込まれるがん。当座をしのぐためには、準備金として100万円ほどが必要だといわれている。
「いつでも使える100万円の貯蓄があれば安心ですし、蓄えがなければ、がんと診断されると一時金100万円が給付される民間のがん保険も検討材料です」