【四肢末端型 冷え症】
「痩せ形で、食事の摂取量が少なく、ダイエット志向の強い若い女性に多くみられるタイプです」
文字どおり「手や足の末端が氷のように冷えてしまう」冷え症だ。
「食事量や運動量の不足によって、体内で作られる熱が少ないことなどが原因となります。熱量が不足すると、体温を守るため、脳は過剰防御的に手足などの末端の血管を収縮させ熱の放出を防ぐ。その結果、四肢に熱が行きわたらなくなり冷えるのです。血管が収縮しているので、カイロや湯たんぽ、靴下の重ねばきなどでいくら四肢を温めても、根本的な解決になりません」(伊藤先生・以下同)
【下半身型 冷え症】
「下半身が冷え、上半身がのぼせると『冷えのぼせ』という状態になります。男女ともに中高年に多く、最も多いタイプです」
伊藤先生が診察をしている冷え症外来にくる人の50%が「下半身型」、25%がこれとほかの型の冷え症の混合型だという。つまり、冷え症に悩む75%の人が下半身型の症状を抱えている。
「腰からお尻、ふくらはぎの筋肉が硬直し、下半身の血流を調節する交感神経を緊張させ、血流が低下することが一因です。臀部での圧迫がさらに強まると、座骨神経痛を引き起こす場合もあります」
痛みも伴う場合は……。
「閉塞性動脈硬化症など、動脈硬化から起こる血行障害の可能性もあるので、必ず検査を受けてください」
【内臓型 冷え症】
「手足や体表面は温かいが、体の内部、特に下腹部(腸など)が冷えるタイプ。中高年の女性に多く、体質的には、交感神経の働きが弱い人や、アレルギー体質の人に多い傾向があります」
腹が冷え、腹部に張りのあるガス腹の人は要注意。
「体質由来以外にも、虫垂炎や子宮内膜症などの腹部の手術による、癒着や血流障害が症状を引き起こしていることもあります」
【全身型 冷え症】
「体の全身が冷えてしまうタイプを全身型冷え症といいます。局所の冷えよりも寒気を感じることがあります」
伊藤先生の冷え症外来の患者のうちの約5%と多くはないが、「若年層や高齢者に比較的みられる」という。
「原因は、体内の熱が極端に少ないことです。基礎代謝が低下したり、体温を上げる働きが低下したりするため冷えるのです。ストレスや不摂生な生活が要因になっている場合もあります」
【PROFILE】
伊藤剛先生
北里大学東洋医学総合研究所・北里大学客員教授。冷え症の専門家で、「冷え症外来」の第一人者でもある