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花粉症や新型コロナワクチンの副反応に備えるためなど、頼る機会の増えた市販薬。毎年、市販薬を多く購入している世帯であれば、ぜひ活用すべき国の特例制度がある。

 

市販薬を1年間に1万2,000円以上(世帯合計)購入した場合、上限8万8,000円まで所得控除が受けられる「セルフメディケーション税制」だ。

 

’17年にスタートした同制度。これまでは医師の処方箋から市販薬に転用された“スイッチOTC医薬品”のみが控除対象だったが、’22年1月から対象品目が一般用医薬品(OTC医薬品)にまで拡大され、大幅に利用しやすくなった。

 

薬局やドラッグストアで販売されているすべての医薬品が対象ではないが、解熱鎮痛薬、鼻炎薬、総合感冒薬、胃薬、虫刺され薬、シップ薬など、’22年3月7日時点で6,399品目が対象となっている(対象品目は購入時のレシートに●や★などの目印が付く。厚生労働省のホームページでも確認可)。

 

利用対象の基本条件は、次にまとめた4項目。

 

■「セルフメディケーション税制」の対象となる条件

 

【1】「セルフメディケーション税控除対象」のマークがついた市販薬を年間1万2,000円以上(世帯の合計)購入している。
【2】市販薬を購入した際のレシートを保管してある。
【3】申告を行う年に予防接種や健康診断などを受けて健康管理に取り組み、その領収書や診断結果を保管してある。
【4】「医療費控除」を受けていない。

 

4つの項目を満たせば、確定申告の際に申請が可能となる。

 

課税所得400万円の世帯が、対象の医薬品を2万円購入した場合、課税所得から8,000円が控除され、所得税が1,600円、個人住民税が800円の計2,400円が還付される。

 

医薬情報研究所エス・アイ・シーの医薬情報部門責任者で薬剤師の堀美智子さんは、次のように語る。

 

「たとえば、家族全員が花粉症の市販薬を1カ月飲み続けている世帯などは、年間に購入するほかの薬を含めると、1万2,000円は軽く超えると思います。還付される金額が少なくても、控除を受ける条件がそろっているなら活用したほうがいいでしょう」

 

1年間にかかった医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%)を超えた場合に受けられる「医療費控除」よりも適用となる下限額が低いこの制度。

 

コロナ禍以降、市販薬で体調管理をしていた人にとっては、ちょっとした節税になるはずだ。

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