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朝起きたら枕からイヤなニオイが漂ってきたり、ひたいにかく汗とともに頭からニオってきたり、「頭皮臭」が気になるという人が急増している。

 

「人の皮膚の上で暮らす常在菌が、汗と皮脂を原料にニオイの物質を作り出しています。常在菌は皮膚を守るので悪い細菌ではありませんが、ニオイの原因にもなります。細菌は適度な湿度を好むので、高温多湿の時季になると、汗が臭くなるのです。しかも、女性は更年期障害によってホットフラッシュがある場合、頭から大量に発汗しますし、帽子をかぶったり、髪を結んだりして蒸れやすいので、男性よりも頭皮臭が発生しやすくなります」

 

そう話すのは、予防医学や生活習慣病に詳しい内科医の桐村里紗先生。

 

日常的に汗をかいていないと、体温調節をつかさどるエクリン汗腺の機能が低下して、ベタベタした汗をかきやすくなる。ミネラルを含んだ汗は、常在菌のエサになり、ニオイを発しやすくなるというので、注意が必要という。

 

ただ、「ニオイのもとは夫だと思ったら、自分が臭かった!」と、気落ちするのはまだ早い。

 

■夏本番になる前に頭皮臭対策を!

 

桐村先生がお勧めしてくれた対策は4つ。

 

【1】頭の通気性を一番に考える

日よけのために、帽子をかぶる人も多いだろうが、桐村先生は帽子よりもサンバイザーを勧める。

 

「帽子をかぶると頭が蒸れますので、サンバイザーのほうがいいでしょう。どうしても帽子をかぶりたいのであればメッシュ素材など通気性のよいものを選ぶこと。帽子の色も黒は光を吸収して中の温度を上げるので、白など光を反射する素材のほうがいいと思います」(桐村先生・以下同)

 

帽子をかぶらず日傘もいい。また、髪の毛はしばらないで、ヘアクリップなどでとめる程度にして、1日数回は髪をほどいて頭皮用の制汗スプレーなどで発汗を抑えるようにしよう。

 

【2】1日1回はしっかり洗浄する

夏場は汗もかき、ベタベタしていることが多いので、しっかりと洗浄できる高級アルコール系シャンプーとコンディショナーがセットになっているものを選ぼう。

 

「油分の多いオイルや整髪料を使っている場合だけでなく、高温多湿の時季は、汗や皮脂が残らないように、しっかり洗浄しましょう。ただし、夏場でも洗髪は1日1回。最近は冷房のあたりすぎで乾燥するケースもありますので、乾燥を防ぐために洗浄力がマイルドなアミノ酸系シャンプーや、頭皮用の保湿ローションなどを使うケアの方法もあります」

 

フケは、常在菌のエサになるので、髪のケアも入念に。

 

【3】いい汗をかく習慣をつける

ニオイのもととなるベタベタした汗をかく人は、汗腺を鍛えると、ミネラルが再吸収される。汗と一緒に出てこなくなるのでサラサラとした汗になる。

 

「夏場はシャワーで済ます人も多いと思いますが、湯船に最低10〜15分つかるようにしましょう。少し息が上がる程度のウオーキングも汗腺が鍛えられるのでおすすめです。1週間に1回からスタートして、徐々にスピードや頻度を上げていくと継続できます。汗をかく習慣がつくと、サラサラした汗をかけるようになります」

 

ただ、ホットフラッシュによる発汗が強い人は、ホルモンバランスが乱れている証拠。我慢しないで婦人科を受診しよう。ホルモン補充療法や漢方薬などで、症状が改善してくる。また、ストレスを減らすためにも早寝早起きで睡眠もしっかりとろう。

 

【4】腸内環境と生活習慣を整える

そして大事なのは食生活を含めて生活習慣を整えること。

 

皮脂の分泌を増やさないで酸化を予防するためにも、脂っこい食事や砂糖たっぷりの甘いものは控えて、腸内環境を整えるために豆や食物繊維が豊富な野菜や海藻を中心に日本食を。頭皮の血行を改善するためにも、三食しっかり食べて規則正しい生活を心がけて。

 

「腸内環境を整えることで、皮脂の分泌を抑えて酸化を予防します。また、血液中の中性脂肪を増やす食事は皮脂を増やすことにつながります。脂っこい食事や甘いものの摂取を抑えましょう」

 

頭皮の血行をよくするのも、皮脂の新陳代謝を促進するという。

 

汚れを落とし、ストレスをなくして自律神経を整えること。そして規則正しい生活を送り、イヤな頭のニオイとおさらばしよう!

 

【PROFILE】

桐村里紗

内科医・認定産業医。予防医学や生活習慣病をテーマにメディアに多数出演。著書に『日本人はなぜ臭いと言われるのか』(光文社新 書)などがある

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