生魚を食べる際はくれぐれも、アニサキスにご用心! 画像を見る

「全国各地でアニサキス食中毒が激増しています。ここ数年でその数は一気に増え、5年前からは食中毒の原因、ワースト1位にもなっているんです」

 

そう語るのは熊本大学産業ナノマテリアル研究所の浪平隆男准教授。

 

厚生労働省の速報によると今年はすでに124件のアニサキス食中毒が発生している(6月8日時点)。

 

アニサキスとは、その終宿主がクジラなどである太さ0.5~1.0ミリ、長さ2~3センチのミミズのような見た目で、魚の内臓に寄生している寄生虫。生きたまま食べてしまうと食中毒を引き起こすが、なぜ近年増加しているのか?

 

「主にアニサキスの認知が進み、適切に被害が報告されるようになったことが考えられます。また、鯨の数の増加や、地球温暖化によって鯨や魚の回遊ルートが変わり、水揚げされる魚がアニサキスの卵を含む、鯨のフンを食べる機会が増えたことも関係しているのではないかと思います」(浪平准教授・以下同)

 

なかでもアニサキスが多く報告される危険な魚を教えてもらった。

 

「サバ、イカ、アジ、サンマ、イワシで多く見られます。以前は青魚が中心でしたが、サーモンや、ヒラメなどの白身魚でも報告され、もうアニサキスのいない魚種はないといっていいほど」

 

魚の輸送技術の発達も、アニサキス増加の原因に――。

 

「魚が死んで内臓が腐ってくると、魚身に移動します。-20度で24時間以上冷凍すると死にますが、近年は冷蔵状態で長時間の輸送が可能になったため、幼虫が魚身に移動しやすくなっています。サバ1匹の内臓から100匹ほど見つかることもあり、そうなると結構な確率で魚身に移動しています」

 

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