すりごま習慣を!(写真:PIXTA) 画像を見る

「亜鉛は、新型コロナ感染症予防や後遺症に有効だという研究があります。しかし、摂取量は日本人の大半が不足しているのです」

 

そう話すのは、赤坂ファミリークリニック院長で栄養・食事療法に詳しい伊藤明子先生だ。

 

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、女性の場合、亜鉛は1日に8mgの摂取が推奨されている。不足すると、皮膚炎や口内炎、脱毛、味覚・嗅覚の異常などを起こすことがあるという。また、亜鉛が不足すると、感染症にかかりやすくなる。冒頭のとおり、新型コロナに関しても感染や後遺症のリスクが高まるという研究は多い。

 

コロナ後遺症としては、体のだるさや倦怠感、集中力が続かず思考力が低下する“ブレインフォグ”、味覚や嗅覚の異常、乾いた空せきが長く続く、脱毛などがよく見られる。こうした症状が短い人で1~2カ月、なかには1年以上続く人もいるそうだ。

 

伊藤先生のクリニックには、後遺症に苦しむ患者が、助けを求めてやってくることも。

 

「後遺症はどれもつらいと思いますが、特に若い方などに脱毛は大問題。泣いて訴える方もいます」(伊藤先生・以下同)

 

お風呂場で髪の毛がごっそり抜けたり、他人が見てもわかるほど薄毛になる人もいるという。

 

「後遺症が顕著な方は全員、血液検査を行いますが、もれなく亜鉛不足が見つかります」

 

患者には、亜鉛など不足欠乏していたものの摂取を勧め、併せて食事指導も行うそう。脱毛などの後遺症で来院した母と大学生の娘は、治療を始めて3カ月ほどで効果を実感し、半年ほどですっかり元どおり。さらにブレインフォグなどの後遺症にも改善が見られ、亜鉛効果の大きさがうかがえる。

 

「すでに後遺症が起きている方には医療機関の受診が望ましいですが、今は健康で感染症予防が目的なら、毎日の食事で亜鉛の摂取を心がけるといいと思います」

 

亜鉛を多く含む食材といえばカキが有名だが、そのほかウナギやイワシ、レバー、海藻、枝豆、きな粉、アーモンド、ごまなどにも多い。亜鉛はこれらから「毎日取る」ことが望ましいという。とはいえ、1日の推奨摂取量はカキだと5~6個分に相当する。毎日食べ続けるのはむずかしい。

 

そこで、伊藤先生のおすすめはすりごまだ。ごま100gに亜鉛は5.9mg含まれ、肉類のなかで亜鉛が比較的多いといわれる牛肩ロースの約1.3倍だ。堅い皮がすりつぶされ、栄養素を吸収しやすいすりごまを活用しよう。

 

「すりごまを毎日大さじ1~2杯。お味噌汁に入れたりご飯にかけたり、納豆に混ぜてもいいですね。すりごまを食卓に並べておいて、それぞれ好きなものにかけて食べるといいでしょう」

 

食べる分だけそのつどすると、香ばしいごまの香りが食欲を刺激し、新鮮な風味が楽しめる。

 

「ただし1日に大さじ2杯まで。それを超えて量が増えてしまうと、カロリーの取りすぎが心配です。注意してください」

 

スーパーで安価で買えるごまだからこそ、今すぐ始められて長く続けやすい。毎日のすりごまふりかけ習慣で、新型コロナに負けない健康な春を迎えよう。

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