60代の40%が悩む夜間頻尿 夜2回以上のトイレは死亡リスクは2倍に!
画像を見る 加齢によるホルモンの働きや筋力の低下も原因に(写真:アフロ)

 

■一晩3回以上トイレに起きる人は転倒のリスクが1.28倍

 

なかには、排尿後に意識を失う「排尿失神」を起こす人も。

 

「排尿失神は、排尿で血圧が下がり、心臓から脳へ送られる血液が急に減るため、脳が酸素不足になって起きる意識障害です。

 

排尿失神自体は後遺症などの心配も少なく回復しますが、問題は転倒です。廊下や階段で倒れて、打ちどころが悪いと危険です」

 

失神しなくても、夜中は暗くて周りが見えづらい、寝ぼけて足元がおぼつかないなど、転倒のリスクは高そうだ。

 

「一晩に3回以上トイレに起きる人は、トイレに行く際に転倒するリスクが1.28倍になるというアメリカの研究報告もあります。

 

転倒での骨折が原因で寝たきりになる人もいますし、そもそも睡眠不足では日中のパフォーマンスが下がります。意欲や集中力が低下し、居眠り運転などの危険性も無視できません」

 

睡眠不足からホルモンバランスが崩れると、うつなどメンタル面に不調が現れる人もいるそう。 「夜間頻尿は、寿命や健康な生活を脅かす大きな問題なのです」

 

そもそも、夜間頻尿はなぜ起きるのだろう。

 

「原因はおもに『膀胱畜尿障害』と『夜間多尿』『睡眠障害』の3つです」

 

順に解説してもらおう。

 

「膀胱畜尿障害は、女性では多くは『過活動膀胱』によって起きます。

 

加齢とともに、血管が老化して血流が悪化。膀胱のしなやかさや弾力性が失われ、排尿筋が過活動状態になります。その結果、膀胱に十分に尿をためられなくなり、少ない尿でも『尿意切迫感』といってトイレに行きたくなる。夜中に何度も起きてしまう原因です」

 

夜間多尿は、文字どおり夜に作られる尿が多い状態だ。本来、夜は抗利尿ホルモンなどの働きであまり尿が作られず「夜中はトイレに行きたくならない」のが正常だそう。加齢とともにこうしたホルモンが減少していく。

 

「筋力や血管の収縮力の低下も、夜間多尿の原因です。血行が悪く下半身に水分がたまった状態で横になると、その水分が上半身に移動し腎臓に届いて、夜間に尿を作ってしまうのです。

 

いっぽう、糖尿病によって夜間多尿が起こる場合もあります。年のせいだと自己判断せず、専門医を受診してください」

 

睡眠障害は……?

 

「高齢になると日中の活動量が低下し、睡眠が浅くなりがちです。リウマチなどの痛みで深く眠れない人もいるでしょう。夜中、目が覚めたときに軽い尿意を感じてトイレに行く。これが習慣化してしまうことがあるのです。

 

逆に、尿意があるから就寝後に目が覚め、睡眠が浅くなることもあります。どちらが根本の原因かは難しいところですが、悪循環が起きるケースが多く見られます」

 

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