「最近、体がだるくて、なかなか起きられない」
「甘いものばかり食べてしまい体重が増えた」
この季節、そんな人が増えているという。
「気づいていないだけで、その体のだるさや過食は“冬季うつ”が原因かもしれません」
そう警鐘を鳴らすのは、心療内科医の斧澤克乃先生。冬季うつの正式な病名は“季節性情動障害”。別名“ウインター・ブルー”とも呼ばれている。
「冬場に日照時間が短くなることで、脳内の神経伝達物質のひとつであるセロトニンやメラトニンの分泌量が減少することが原因だとされています」(斧澤先生、以下同)
セロトニンは、“幸せホルモン”とも呼ばれ、自律神経を整え、心を安定させる作用がある。メラトニンは、体内時計を整え上質な眠りにいざなってくれる。両者とも、光を浴びることで生成が促される。
「冬季うつは、日照時間が短くなる10~11月ごろに始まり、春先になると、何もなかったように回復するのが特徴です」
女性に多く、一般的なうつとは症状が異なるという。
「一般的なうつは、倦怠感や気力の低下などに加えて、“不眠”や“食欲減退”などの症状が現れます。一方、冬季うつの場合は、倦怠感や気力の低下は共通しているものの“過眠”や“過食”“体重増加”などが特徴です。
とくに〈日中、眠気がひどくて起きていられない〉〈甘いものが食べたくなり、菓子パンなどの炭水化物を食べすぎてしまう〉などという方は冬季うつの可能性があります」
右の表をみて、自分に症状がないか確かめてみよう。
「原因は日照時間の低下と言われていますが、不安な気持ちが症状を悪化させる可能性も」
特に今年は、元日から地震や飛行機事故などのニュースが立て続けに起きているので注意が必要だ。冬季うつには、どのように対応すればいいのか?
「まず、(1)朝起きたら太陽の光を浴びること。曇りや雨の日は電気スタンドの光を30分程度当てて代用を。(2)簡単な体操でよいので体を動かすこと。さらに、(3)朝食をとることも大事です」
(1)~(3)を習慣づけることで、メラトニンやセロトニンの分泌が促され、症状が和らいでいくという。