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日本人にはなじみの深い「高枕」。だが、それが12cmを超えると、命の危険にさらされるリスクが高まるという。

 

「高い枕で寝ている人ほど、脳卒中の原因のひとつである、特発性椎骨動脈解離の有病リスクが高まることがわかりました」

 

こう話すのは国立循環器病研究センター・脳神経内科の田中智貴医長だ。

 

田中医長らのグループは、脳卒中の原因のひとつである特発性椎骨動脈解離が、枕が高いほど有病割合が高いことを立証し、「殿様枕症候群」という疾患概念を提唱。

 

その研究成果が、国際学術誌『European Stroke Journal』オンライン版に1月末に掲載されたのだ。

 

「枕の高さと椎骨動脈解離の関係性については、病室での患者さんを見て『ひょっとしたら』と。その患者さんは枕を2つ重ねて高くして、首がかなり曲がった状態で横になっていました。聞くと、『いつも高い枕で寝ています』と」

 

脳卒中は高齢者に多い病気だが、50代や若年層でも「特殊な原因で起こることもある」と田中先生。

 

「特発性椎骨動脈解離はその原因のひとつで、首の後ろの椎骨動脈という血管が裂けてしまうことで脳卒中を起こします。脳卒中全体の2%ほどですが、『特発性』とは原因がわからないという意味ですので、高い枕を使うことと発症の関連性を調べてみることにしたんです」

 

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