かつおだしNG、外食ができない…急増中「アニサキスアレルギー」の悲惨な体験談
画像を見る 魚そのものはおろか鰹だしも…(写真:gontabunta/PIXTA)

 

■アレルギー品目としてまだマイナーなアニサキス。検査を受けられず困っている方も

 

いっぽうで、専門医と繋がれず、一人で戦い続ける人もいる。松田洋子さん(仮名・40代)は2018年にアニサキスアレルギーを発症した。彼女は糖尿病の持病があり、食べたものと体調を普段から記録している。

 

2018年の夏、ひどい下痢を繰り返すようになり、食の記録をさかのぼってみると、5月以降魚を食べた日に限って下痢が起きていた。ただ「魚が怪しい」以上のことがわからない。何軒ものアレルギー内科を受診したが、どこも大人の食物アレルギーには冷たいという。「魚でアレルギーを起こすなら、食べなきゃいいでしょ」そう言い放つ医師もいた。

 

翌2019年、人間ドックの際に食物アレルギーの39品目検査を受けたが、サバやエビなど魚貝類のアレルギー反応はナシ。検査項目にアニサキスは含まれていなかったので、洋子さんは検査を受けられる病院を探しているという。

 

洋子さんの食生活は、魚そのものはおろか「鰹だしもアウト。昆布だしはかろうじてOKですが、ワカメはNG」。白だしも麺つゆもダメ。ナンプラー(魚醤)を使うタイ料理も、オイスターソースを使う中華料理もダメ。魚フライと同じ油で揚げたフライドポテトもダメ。外食は壊滅的だという。普段は、醤油を水で薄め鶏がらスープの素を少し足して麺つゆにし、少し高価な味噌を使っただし抜きの味噌汁を飲む。

 

洋子さんはどこの病院でも気軽に、アニサキスアレルギーの検査を受けられること。そして、大人の食物アレルギーに寄り添ってくれる医師が増えてほしいと切望する。

 

厚生労働省によると、アニサキス症(食中毒)の発生件数は2023年に432件で、10年前の10倍になった。これも氷山の一角と目され、アニサキスアレルギーにいたっては患者数の測定もない。

 

鈴木医師も論文内で、「アニサキスアレルギーはアナフィラキシーなど生命を脅かす重篤な急性病態であることに加え,食中毒の一種であるアニサキス症と異なり長期にわたる健康被害としてのアレルギーが持続し,同疾患の発症前と同様の安心した食生活を半永久的に送ることができない、といった食の QOL 低下に関わる問題を生み出している」(「本邦のアニサキスアレルギーによる健康被害について」)と警鐘を鳴らす。

 

ひょっとすると、あなたの下痢もアニサキスによるものかもしれない。

出典元:

WEB女性自身

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