野菜の値段が高止まりしている。たとえばキャベツは、ピーク時より値下がりしたものの、平年比を大幅に上回る状態が続いている(農林水産省の発表)。
「高騰のせいで野菜を買い控え、野菜不足に陥ると、体調を崩すこともあります。こんなときはあずきを活用してください」
そう話すのは『「小豆の力」はなぜスゴイ?』(キクロス出版)の著者で名寄市立大学前副学長の“あずき博士”こと加藤淳先生だ。
確かに、食物繊維の不足は便秘や肥満、さらには糖尿病などのリスク上昇につながる恐れも……。
「あずきは、食物繊維やポリフェノールなど、現代人に不足しがちな栄養素をたっぷり含むスーパーフードです」(加藤先生、以下同)
特筆すべきは食物繊維だという。
「乾燥あずきには100gあたり24.8gもの食物繊維が含まれます。『食物繊維が豊富』で代表的なごぼうが5.7gなので、4倍以上です。なかでも、あずきに多いのは不溶性食物繊維です。これが大腸で水分を吸収し、便を柔らかく膨らませて腸管を刺激。手ごわい便秘の解消にも効果があります」
厚生労働省の指標では、食物繊維は15~74歳女性だと1日18gの摂取が目標とされる。しかし実際の平均摂取量をみると、50代女性で1日あたり1.5gほど不足しているという実態が。これを補うためには、レタスだと3分の1玉以上(約130g)食べる必要があるが、乾燥あずきならわずか6gほどでよい。
また、あずきの価格は比較的安定している。スーパーでは250g入りが440円ほどで販売され、6g分なら約10円とコスパも抜群だ。
「あずきにはポリフェノールが赤ワインの約2倍含まれます。ポリフェノールには糖の吸収を穏やかにし、血圧上昇を抑える働きがあるので、肥満や糖尿病対策としても有効です。鉄分やビタミンB群も豊富で、まさに栄養の宝庫です」
ただし、従来のゆで方には問題があると加藤先生は指摘する。
「あずきの渋みを消すため、ゆで始めて沸騰したらゆで汁をいったん全部捨てる『渋切り』を行う人が多いです。しかしこれでは6割以上の栄養素を失ってしまいます」
そこで、栄養素を丸ごと摂取するために加藤先生が考案したのが「無糖煮あずき」だ。
ポイントは最初に行う2~3分の乾煎り。渋みが軽減され、煮崩れも防げるそうだ。ゆで時間も従来のゆで方より短いうえ、アク取りも不要だから放ったらかしでよい。乾燥あずきの約2.2倍量の煮あずきができるので、多めに作り、小分けして冷凍保存が便利だ。