■心疾患の発症確率が1.3倍
「ランスタッド博士によれば、『孤独は高血圧や高コレステロールとならぶ疾患リスク因子である』と考えられています。また、社会的孤立や孤独を感じている人は、冠動脈性心疾患や心筋梗塞のリスクが約1.3倍高くなるという研究報告もあります」
■アルコール依存と同じ
「ランスタッド博士は『孤独は慢性的なアルコール依存と同程度の病的リスクをもたらす』としています。孤独によって、肝硬変や食道がん、大腸がんのリスクも高まると考えられます」
■うつ病リスクが2~3倍
「孤独感は、脳内の報酬系やストレス応答系に影響し、うつ症状を発症しやすいことが神経科学的にも示されています。ある疫学調査では、孤独のうつ発症リスクは2~3倍ともされています」
■認知機能が衰えるスピードが20%の早くなる
「ランスタッド博士は、高齢者が孤独になることで、社会的な刺激を受ける機会が減り、脳の可塑性(外力による変化から元に戻らない性質)が高まり、記憶処理機能が低下しやすくなるとしています。孤独でない人に比べて認知機能の低下が20%早くなるという報告を同博士はしています」
■アルツハイマー型認知症のリスクが2.1倍
「米国医師会の雑誌『JAMA Neurology』(2022年)では、『孤独はアルツハイマー型認知症のリスクが2.1倍高まる』と記されています。孤独を強く感じている人は同症の発症リスクが大幅に増加する、としているんです」
■自殺リスクが3~4倍
「孤独な人は、『自分は誰にも必要とされていない』という感覚を抱きやすく、うつや絶望感と密接に関連します。ある研究では孤独を感じている人の自殺率は3~4倍に増加すると報告されています」
■糖尿病の発症リスクが1.4倍
「孤独になると、交感神経活動が活発になり、ストレスホルモン分泌が多くなり、インスリン抵抗性を高めるとされます血糖値が下がらないため、糖尿病を発症するリスクが高まるとされて、ランスタッド博士は、孤独でない人に比べて1.4倍の発症リスクであるとしています」
■運動による血圧低下効果を相殺する負の効果
「ランスタッド博士は『孤独が運動などの健康的行動の効果を打ち消す要因となる』としています。孤独が慢性的なストレス反応を引き起こし、運動での血圧改善や血糖コントロールというポジティブな効果が相殺されるのではないかと考えられています」
孤独による健康リスクは、このように衝撃的なものが多い。これを受けて行政による取り組みも始まっている。
