東京都は2月4日、豊島区役所内の飲食店が提供した弁当や食事を食べた区職員60人が下痢や腹痛などの食中毒症状を訴えたと発表した。
そのうち5人からは「ウェルシュ菌」が検出されたという。
管理栄養士の渥美まゆ美さんは「真冬でも、調理品の管理の仕方によって食中毒は起こりえます」として説明する。
■加熱しても冷凍しても死滅しない“ウェルシュ菌”
「食中毒を起こす細菌の中でも厄介なのがウェルシュ菌です。
12~50度という広範囲の温度域で増殖し、増殖条件が悪くなると、高温加熱にも冷凍にも耐える『芽胞』を作り生き残るので、ウェルシュ菌を死滅させるのは困難です」(渥美さん、以下同)
つくった料理が室温レベルで長時間放置されるような状態は、ウェルシュ菌が増殖しやすい環境なのだ。
「そのため、カレーやシチューなどの煮込み系の料理で、ウェルシュ菌による食中毒が多く発生しています。
よくいう『2日目のカレー』などは、冬だからといって油断してすぐに冷蔵保存をしないでいると、ウェルシュ菌が増殖しやすい状況になってしまうのです」
■ぬるい温度と酸素がない状態を好んで増殖
カレーやシチュー特有のとろみがある料理も、菌を増殖させやすいという。
「ウェルシュ菌は、酸素がない状態を好むので、とろみがあるカレー鍋の底のほうは増殖しやすい条件になりやすいのです。温め直す際は、鍋の底からよく混ぜながら、空気を含ませるように加熱していけば、菌の出した毒素を不活性化できます」
また、よくやってしまうのが、鍋ごと冷蔵庫に入れる保存方法。農林水産省が行った実験によると、小分け保存に比べて、鍋ごと保存は、冷蔵庫に入れても温度が下がるスピードが遅く、ウェルシュ菌の増殖温度域に長時間留まっていることがわかる。
■鍋ごと常温放置せず、小分けして冷凍・冷蔵を
では、調理後のカレーを保存する際、ウェルシュ菌から守る最適な方法とは?
「水を張ったシンクに鍋ごとつけて、ときどき混ぜながら冷却しましょう。その後に保存容器などに小分けして、冷蔵・冷凍します。
もしくは、調理後すぐ保存袋に入れて、それをぬれ布巾などの上で冷却したうえで冷蔵・冷凍してもかまいません」
粗熱を取ろうとして長時間、鍋ごと常温に置くことは厳禁。素早く冷やして冷蔵庫か冷凍庫で保存するのが鉄則だ。
保存容器に関しては、使いきりの保存袋がおすすめだが、「直火OK」の表記があるホーローの容器で保存すれば、そのまま加熱できるメリットもある。
いっぽうでプラスチック製の容器は、洗う際、スポンジなどで傷がつくと、そこに菌がたまりやすくなるので注意が必要だという。傷つけないようしっかり洗い、乾燥させてから使おう。
ウェルシュ菌による食中毒を防ぐため「かき混ぜ加熱」と「小分け冷却」を実践しよう!
画像ページ >【グラフあり】鍋ごと冷蔵は温度が下がりにくい(他1枚)
