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「先月末に、国民年金に関する2つの改定がありました。1つは受給資格期間の短縮です。これまで老後の年金を受け取るには、25年以上の加入が必要でしたが、来年9月分からは10年以上に変わります。これで新たに64万人が、老後の年金を受け取れるようになりました。もう1つは年金滞納者への強制徴収拡大です。来年度から、年所得300万円以上の滞納者には、督促状の送付や差押さえも可能になります」

 

そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。国民年金の納付率は63.4%(’15年度)といわれるが、実は、免除や猶予なども計算に含めると40%程度と危機的な状況だという。そのため、強制徴収は’15年度には年所得400万円以上の滞納者だったが、’16年度には350万円以上になり、来年度は300万円以上と、年々強化されている。

 

「年金保険料の納付は税金と同様、国民の義務です。とはいえ、家計が厳しくどうしても支払えない方には、免除など救済措置があります。年金免除は、全額から4分の3、半額、4分の1と4段階あります。世帯人数により、年収から各種控除を差し引いた年所得で基準がきまります。また、前年の収入が高くても、失業や被災された方などは免除が受けられます。免除とは別に、一定以上の収入のある親と同居している方や学生には猶予が使えます。猶予は免除とは異なり、後で納付することが前提です」

 

免除・控除にはほかにもメリットがあるそう。荻原さんが解説してくれた。

 

「まず、免除・猶予の期間は受給資格期間としてカウントされることです。先述のとおり、受給資格期間が10年になりますから、これまで未納だった40代の方が今から申請しても無年金を防げます。次に、免除・猶予を受けている間に、万が一死亡した場合は残された家族に遺族年金が、障害が残った場合には障害年金が支給されます」

 

国民年金は20歳から60歳までの40年間、欠かさず年金保険料を納めると満額、月6万5,000円が受け取れる(’16年4月以降)。納付期間が短くなると、25年間なら月約4万円、10年間なら月約1万6,000円と少なくなる。

 

「免除期間も、老後に受け取れる年金額は加算されます。たとえ、加入全期間が全額免除だとしても、同じ期間納めた方の半額、40年加入だと月約3万3,000円が、25年加入だと月約2万円が受け取れます。ただし猶予期間は、年金額が加算されません。払える余裕ができたときに、過去分をさかのぼって納めてください」

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