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「昼寝を後ろめたく感じている人も多いかと思いますが、とんでもない話です。むしろ昼間に効果的な仮眠をとったほうが、仕事も家事も効率よくできるようになります。前夜に十分な睡眠がとれていないと、睡眠物質である神経ペプチドやサイトカインがたまってしまい、仕事の効率が下がり、ミスが増えることがわかっています。そのため、昼休みに積極的に仮眠を勧める企業もあるほどです」

 

こう昼寝の効能を説くのは、『パワーナップ仮眠法』(フォレスト出版)の著者で、雨晴クリニック副院長の坪田聡医師。仮眠の効果は、NASA(アメリカ航空宇宙局)のレポートでも報告されている。

 

「宇宙飛行士を対象に、昼に26分の仮眠をとってもらったところ、認知能力が34%、注意力は54%も向上したそうです。“パワーナップ”と呼ばれるこの昼寝効果は、アメリカでは常識となっています。世界有数のIT企業であるグーグル社やアップル社、マイクロソフト社でも、オフィスに仮眠スペースを設けるなど昼寝を推奨しているのです。国内でも厚生労働省が’14年に発表した『健康づくりのための睡眠指針』の中で《午後の短い昼寝で眠気をやり過ごし能率改善》と、昼寝を推奨しています」(坪田医師・以下同)

 

家や学校でつい居眠りしてしまい怒られる、話題の映画『ひるね姫』の主人公・森川ココネに限らず、昼間の眠気に悩まされる女性は多い。

 

「そもそも体内時計のリズムでは深夜2〜4時と、午後2〜4時とに眠気のピークがやってきます。午後になると眠くなるのは当たり前なのです。さらに女性の場合は、生理周期によって睡眠の質が下がり、昼間でも眠くて仕方なくなることがあります。50代の女性は、睡眠に対して不満をもちやすくなるともいわれています。閉経によるホルモンバランスの変化や、子育てを卒業したことによる喪失感など、不安定な要素が多くなる年齢だからです。更年期障害などによって夜によく眠れない方なども、昼寝を生活習慣に取り入れることで、ストレスや不満の解消が期待できます。また、毎日昼寝をすると、認知症になる確率が5分の1になるという研究報告さえあるのです」

 

そこで、坪田医師が上手に昼寝をするための5カ条を伝授!

 

【1】昼寝は午後3時までに

 

「昼寝にはもっとも大切な夜の“本眠”を先取りする効果もあります。そのため夕方以降に仮眠すると、夜に寝付きが悪くなるなどの悪影響が出る恐れがあるため、昼寝は午後3時までに終わらせる必要があります」

 

【2】昼寝時間は20分以内

 

「昼寝は短くても効果がありますが、長く深い眠りに入ってしまうのは逆効果。頭も体も重くだるくなってしまいます。理想的な昼寝時間は15〜20分。タイマーをセットして速やかに起きましょう」

 

【3】横にならず“居眠り”を

 

「横になるのは深く眠りすぎる原因となり、20分以内に起きられなくなる恐れがあります。さらに、目覚めた後でも頭がボーッとして、集中力や反応速度が落ちてしまう“睡眠惰性”が働いてしまいます。昼寝をするときは、ゴロンと横になるのではなく、いすに座ったり、机に突っ伏したり、壁によりかかるなどして、深い眠りにならないようにしましょう」

 

【4】昼寝前に1杯のコーヒーを

 

「昼寝の効果を最大にするためには、目覚めをよくする必要があります。そのために上手に利用したいのがカフェイン。たとえばホットコーヒーの場合、カフェインが効果を発揮するのは飲んでから20〜30分後なので、昼寝前に飲んでおくと、ちょうどいいはずです」

 

【5】休日の昼寝は90分間

 

「会社勤めの方や外出が多い方には昼寝のチャンスがない場合もあります。平日に睡眠が足りなければ、休日の昼寝で、たまってしまった“睡眠負債”を返済しましょう。20分の昼寝を数回に分けてとってもいいですし、睡眠周期で眠りが浅くなる90分間の仮眠を、ベッドやソファに横になってとってもよいでしょう」

 

専用の枕も販売されるほど社会から認められるようになった昼寝。もうコソコソせずに堂々と居眠りしよう!

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