image

 

「健康づくりや地域貢献をすることでポイントを貯められます。そのポイントは、地元の商店街や、図書館などの公共施設、バスの乗車などに利用できるようになるのです」

 

そう話すのは、地域サービスに詳しいファイナンシャルプランナーの吹田朝子さん。マイナンバーカードを使った「自治体ポイント制度」の実証実験が、今月25日からスタートする。自治体ポイントとは、ボランティアや講習会への参加など地域活動をした人に、各自治体がポイントを与えるもの。「1自治体ポイント=1円分」として、マイナンバーカードに貯めることができるのだとか。まずは、全国217の市区町村が参加する。吹田さんが詳しく解説してくれた。

 

「これまで各自治体がバラバラに発行していて、使い道も地元限定、景品交換が多かったポイントを、マイナンバーカードを使って1つにまとめ、地元商店街や観光など全国で利用できるようにする制度です。さらに、ついつい有効期限を切らしてしまう企業ポイントに交換できるようにもなります」(吹田さん・以下同)

 

具体的にどうすれば、自治体ポイントはもらえるのか?

 

「すでに全国400以上の自治体で、独自のポイントを発行しています。たとえば、高知県では、健康相談やスポーツ教室への参加で、香川県ではごみ拾いのボランティアで、ポイントをもらえます。北海道苫小牧市ではアイスホッケーなど地元チームの応援に行くのもポイント付与の対象に。ほかにも、転入歓迎や出産・結婚祝い、成人記念でポイントがもらえる地域も」

 

これから自治体ポイントがはじまる地域も、提携する店舗を利用するだけでなく、地域活動の参加でポイントが貯まるようになる。

 

「高齢化によって自治体が負担する医療費や介護費用は膨らむ一方です。これらを少しでも抑えるために“定期健診を受けてもらいたい”“前もって介護相談にきてほしい”との思惑から、健康イベントには高いポイントがつくと考えられます」

 

自分が住んでいる地域でどんなポイントが貯まるかといった情報は、もうすぐ開設予定の公式ポータルサイト「自治体ポイントナビ」でチェックできるようになる。最新情報やポイントが増えるキャンペーンなどお得な情報も随時アップされるそう。

 

「これからは“ラジオ体操に参加してハンコをもらう”、あの感覚でポイントが貯められるはず。図書館や体育館、児童館を利用するだけで、ポイントがもらえるようになるかもしれません」

 

協賛企業のポイントを、自治体ポイントに交換できるところにも注目だ。

 

「今のところ、クレジットカード会社など12社が参加しています。ドコモのdポイントや航空会社のマイレージも対象です。あるアンケートによると、日本では94%の人が何らかのポイントを貯めていますが、一方で、貯めたポイントの3〜4割は使われていないという実態もあります。バラバラに貯めたものを自治体ポイントとして合算すれば、一気に数千円分のポイントとして使えるかもしれません」

 

自治体ポイントを逆に、協賛企業のポイントに変換することはできないらしい。では、貯めたポイントは、どのくらいお得に使えるのか?

 

「これまでは発行する自治体でしか使えなかったポイントが、全国で利用できるようになります。決定しているところでは、ふるさと納税サイト運営最大手のトラストバンクが開設する、名産品のネット通販サイト。また、地域イベントのチケット代や会費としても利用できるとか。詳しくは公式サイトがオープンしないとわかりませんが、公共交通機関、自治体が運営する公園や、温泉地などでも使えるようになるでしょう」

 

たとえば、地元で貯めたポイントを旅行先で利用したり、地元のボランティアに参加してもらったポイントを、会社近くのレストランで“ご褒美ランチ”として利用することだってできる!

 

「自治体ポイントが地域に還元されることで、活性化につながります。地元がにぎわうと、都会に流出しがちな若い人も残るようになる。そうすればますます活気も出て、提携店舗や使える場所が増えていくでしょう」

 

総務省によると、11月にAndroidのスマートフォン用アプリ、来年2月にはiPad用アプリをリリースするそう。外でもポイントを確認できるようになれば、使い勝手もアップするはず。でも、マイナンバーカードが“ポイントカード”になったら、個人番号がバレたり、盗まれたりする心配はーー?

 

「個人番号は使いません。自分で設定する“マイキーID”で管理されます。それにポイント付与のときも、店員にカードを渡さずにすむ仕組みが取り入れられるようです。自分でポイント装置にカードをかざすので安心です」

 

ただし気軽に扱って、落としたり紛失しないようにくれぐれも気を付けよう!

関連カテゴリー:
関連タグ: