著書『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』(ダイヤモンド社)がベストセラーになった公認会計士・税理士の林總(あつむ)さん。黒字化のプロが、細かい節約とは無縁で、かつ堅実な金銭感覚が自然に身に付くお金のルール、メリハリお金哲学を教えてくれた。
《65歳で仕事ゼロでも暮らせるような“自分年金”計画》
林さんは65歳以降、年金生活に入ることを想定している。たとえば、夫婦2人で月30万円あればゆとりのある老後を送ることができると考え、公的年金の不足分は“自分年金”を作ったという。「会社員なら『確定拠出年金』、自営業者なら『国民年金基金』に入る方法があります。掛金は所得税から全額控除できるので、節税にもなります」。貯金は病気や介護が必要になったときなどの、もしものときに備えておく。生活費のために取り崩さないようにしているという。
《投資はしない》
消費税増税分や物価の値上げ分を捻出するために「投資」への機運が高まっているが、林さんは注意をうながす。「投資にはリスクがつきものなので貯金が目減りしてしまう恐れがあります」。家計の貯えは絶対に目減りさせてはならないという。
《日々の収支を記録し、家計簿はつけない》
予算をもとにお金を袋に小分けにして、その範囲内でやりくりすれば、家計簿を毎日つけなくてもいい。「予算が決まっていなければ、家計簿をつけても赤字になってしまいます。毎日つけるのがストレスになると衝動買いに走ってしまいますよ」。家計簿をつけたことがない人こそ、予算を立ててやりくりする林家式でOK!
《子供には銀行口座を管理させて金銭教育》
林さんの4人の子どもたちのお小遣いは、高校生になったときから手渡しではなく、子ども名義の通帳に振り込んだという。「毎月決まった額を入金し、お年玉や入学祝いなどの一時金は積み立てるなど、計画的に貯めさせました」。通帳を持たせると、限られた予算の範囲でやりくりをしようという意識が出てくる。通帳が小遣い帳の代わりになり、コツがわかってくるという。「使いすぎて月末にしんどいことがあったら、翌月は計画的に使うようになります」。
《生活の楽しみは犠牲にしない》
林さん一家は年に1度、家族で海外旅行に行くことも予算に入れている。「わが家は、ふだん子どもたちの洋服はほとんどいとこのお下がり、夏でも夜はクーラーをつけないで窓を開ける。ペットボトルの飲み物は買わないで、水だしの麦茶を水筒に入れて持参など、物はあまり買わないシンプル生活です。そのかわり、子どもたちが独立するまでは年に1度、海外旅行に行きました。生活にメリハリをつけることが大切です」。