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「私自身、パラサイトシングルだった30代、自分のことだけしか頭になく、親の体調不良は気にも留めませんでした。介護の知識やお役立ち情報を知らなかったので、時間やお金を無駄に使ってしまい、すごく後悔しました」

 

こう語るのは、『書き込み式!親の入院・介護・亡くなった時に備えておく情報ノート』(翔泳社)の著者で、ジャーナリストの村田くみさん(47)。現在は母の介護をしつつ、一般社団法人介護離職防止対策促進機構でアドバイザーを務める。親の“もしも”は、ある日突然やってくる。村田さんは、’07年に父親が末期がんで他界し、葬儀、お墓の購入費用などを肩代わりしたため、貯金が一気に減ったという。そして、翌年から母親の介護がスタートした。

 

「それが縁で介護の記事を書くようになり、『こんな制度があったんだ!』と、目からウロコが落ちました。少し貯金を持っているときが要注意。何でもお金で解決しようと、無駄なことにも使ってしまいがちなので気をつけましょう」(村田さん・以下同)

 

村田さんの数々の失敗経験から、倒れたときに備えておくと便利なことを教えてもらった。

 

【1】かかりつけ医を知っておく

 

「母が急性心不全で倒れたとき、救急搬送先が見つからなくてたらい回しにあってしまいました。かかりつけ医に、『夜中に具合が悪くなったときの緊急搬送先』を聞いておけば、もう少し早く病院で治療を受けられ、重篤な症状にならずに済んだかもしれません」

 

【2】「お薬手帳」の置き場所を確認

 

「母を連れて皮膚科にかかったとき、『お薬手帳』をうっかり忘れたことがありました。入所している施設から処方せんのコピーをファクスで送ってもらうまで診察を受けられず、2時間以上も待ったということがありました。毎日飲んでいる薬がある人は、必ず持参しましょう」

 

【3】少しの現金と保証人を2人キープ

 

「入院の手続きをする際、『保証人』のサインを求められるケースがあります。また5万〜15万円程度の入院保証金の支払いを求められることがあります。母が入院したとき、財布の中にお金が入っていなくて、『手持ちのお金がない』と、担当に話したら、『病院の隣にあるコンビニに行ってATMで下ろしてきてください』と言われました。お金は退院時に医療費と相殺されますが、いざというときのために、手元に現金を持っていたほうが安心です」

 

【4】地域包括支援センターの場所を知っておく

 

「介護が必要になったら役所の出先機関『地域包括支援センター』に行き、介護認定を申請する手続きをします。親の住む地域を管轄する『地域包括支援センター』はどこにあるか調べておきましょう」

 

【5】取り急ぎ自宅で在宅介護をするための手段を考える

 

「手すりやスロープ、歩行器などは介護保険の1割負担で、レンタルできます。ほかにも、見守り機器の設置や配食サービス、おむつの支給など自治体が独自に行っているサービスもあるので、小冊子などでチェック!」

 

【6】仕事と両立が可能なサービスを知っておく

 

「知っておくと便利な『小規模多機能型居宅介護』は、デイサービスを中心に、ホームヘルプ、施設に短期間泊まるショートステイを組み合わせて使うことができます。また、特別養護老人ホーム(特養)や老人保健施設(老健)で、ショートステイを利用することも、役立つ介護サービスの一つ。利用できる日数は自治体によって異なりますが、ほかのサービスを使わなければ要介護1でも月9〜10日、要介護5になると30日は利用できます」

 

【7】ひとりで抱えこまないためにほかの家族と連携をとる

 

「独身者や同居しているきょうだいに役割が集中してしまいがち。どういう介護を受けたいのかを親に聞きつつ、『倒れたときにどうするのか』、ほかの家族の意見を取り入れて、役割を分担しましょう。家族が一堂に集まる年末年始は話し合う絶好のチャンス。いざというときにLINEやメールで連絡が取れる態勢をつくっておきましょう」

 

【8】ご近所さんと携帯電話の番号を交換しておく

 

「親が倒れたり、様子がおかしいときに、『すぐに連絡をください』と伝えておきましょう。特に、困ったときに相談に乗ってくれる民生委員と顔見知りになっておくと心強いです」

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