死後の世界を笑いながら話す高齢者の“墓友女子会”が急増
同じ墓地や納骨堂に一緒に入る仲間を“墓友”と呼ぶという。そんな、お墓を通して出会い交流を深める“墓友”の輪が最近、広がりを見せている。’89年には全国で4件だった共同墓・集合墓は、’03年には600件以上に急増し、今も増え続けているという。
秋晴れのなか、東京都町田市にある共同墓地「桜葬墓地」で行われた「墓友女子会」に駆けつけた。
「親友夫婦もお墓が一緒だし、句会でのお友達もできたし、私は本当に幸せ」と話す和田知子さん(78)は、31年前に他界したご主人が桜葬墓地に眠る。一人墓参りの寂しさを解消するため、08年からは墓友が集う「さくら句会」を発足し、主催している。
和田さんは言う。「今では毎月10人ほどが集まります。今月のお題は萩。句会がある日は、みんなお参りもそそくさと。お参りと墓友句会と、どちらが主かわからないわよね(笑)」
参加者のひとり、山根千代さん(66)は、両手で数えきれないほど墓友ができたという。「『お母さん、仕事リタイアしてからのほうが充実して忙しそうね』と娘に言われます」
同じく墓友の鈴木和子さんも続く。「墓友は、家がご近所でもないし、これまでの人生で共通項があるわけではないけれど、とっても親しみを感じるの。すごく楽しいです」
和田さんは、死後のサポートを代行してもらう「生前契約」もした。「私はもう何も心配がありません。でも一つだけ心配なのは、埋葬する人が区画を間違えて、主人が眠る区画と違うところに入っちゃうこと(笑)」
「大丈夫。私たち、ちゃんと埋葬に立ち会いますから」
と墓友・鈴木和子さん(66)さんがすかさず言うと、
「あら、わからないわよ。私たちが先に逝くかもよ(笑)」
と、返す山根さん。
「本当ね~」
苑内に3人の笑い声が響いた。