「日活ロマンポルノ」がパリマダムに大人気の理由

今、日活ロマンポルノがフランスで話題となっているという。昨年から今年にかけてフランスで行われた『パリシネマ映画祭』、『ナント三大陸映画祭』、『シネマテーク・フランセーズ』での上映会は連日連夜大盛況。パリのマダムも夢中になる、ロマンポルノの人気の秘密とはいったい何なのか?

 

日活ロマンポルノが生まれたのは’71年。日本最古のメジャー映画会社『日活』が、業界全体の不況のため、低予算でも採算の取れる『成人映画』を多く製作する方針に切り替えたことで生まれた。

 

もともと”一般映画”の監督やスタッフが東洋一の映画スタジオで製作し、一定のルール(10分に1回”カラミ”を入れる、など)さえ守れば内容は比較的自由だった。そして俳優陣も、内田裕也、石橋蓮司、寺田農、蟹江敬三、地井武男……東てる美、岡本麗、美保純ら豪華な面々。

 

つまり、”セックスシーンのための映像”であるAVとは、成り立ちからすべてが異なる。ロマンポルノは”セックスシーンの多い映画”なのだ。だが、日活の意図で題名やポスターが扇情的に作られていたこともあり、当時女性の観客はほぼいなかった。

 

しかし、今ではその作品性が海外でも再評価され、特にパリで開かれた上映会には上品なマダムが連れだって押し寄せた。その理由を、『The Legend of Nikkatsu Roman Porno』(’12年末、フランスで出版予定)の執筆者であるフランス人ジャーナリスト、ディミトリ・イアニ氏はこう話す。

 

「ロマンポルノがパリのマダムに好まれる理由は、その自由な表現やドラマツルギーの構造の巧みさ、女性の描かれ方の美しさ、そして登場人物たちの自然で、のびのびとした性への関わりでしょう。上映会では、舞台挨拶に登場した当時の看板女優・谷ナオミさんに惜しみない拍手が送られました」

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