実は最近、女性側がDVの加害者になるケースが年々増加しているという。内閣府の調査でも、妻からDVを受けた男性の割合は2割近いというデータがある。DV事件を多く手がける中村総合法律事務所の中村順子弁護士は言う。「女性がDVの加害者、男性が被害者というケースはここ数年、表立って出てくるようになりました。夫が退職後、収入が途絶えたのを機に、妻が暴言を吐くようになるケースも多いと感じます」DV防止法によると、身体的暴力のみならず精神的、経済的な暴力に該当すると認められると、男女を問わず、保護を受けられることになる。では具体的に、どのような言葉がDVやモラハラ(モラルハラスメント)に定義されるのだろうか。「妻の夫への『なまけもの!』という言葉が、裁判の証拠として認定されたケースもありました」(中村弁護士)それ以外は、こんな暴言の数々だったという。「稼ぎもないくせに」「田舎へ帰れ」「あんたなんか死ねばいい」「ホームレスになる勇気もないくせに」……。「相手の尊厳を傷つける言葉や、限界を超えてゴミ屋敷になるほどの家事放棄、無視(ネグレクト)もモラハラです」(中村弁護士)不況が長引くいま、給与削減やリストラなどは身近な問題。つい、文句や愚痴も出るだろう。しかし感情にまかせて夫に投げつけたひと言が、DVやモラハラの証拠と認定されるかもしれないことをお忘れなく。