順天堂大学医学部教授・小林弘幸教授が、香りによって血流がどう変化するかを実験した。
ヒバ、イランイラン、ペパーミント、スイートオレンジの4つの香りすべてにおいて、嗅いだ直後はリラックスを表すα波が優位になるなか、とくにペパーミントのα波の上がり方がダントツだった。
「もっともビビットに反応したペパーミントは、快い刺激を脳に与えているといえるでしょう。その後、β波が優位になり、脳は活動的になっていきます。忙しいときの気分転換、気持ちが沈んだときの“気つけ”として、ペパーミントはあなたを助けてくれるでしょう」(小林先生・以下同)
逆に、安眠したいときに嗅ぐといいのはスイートオレンジ。好感度が高く、洗剤などでも使われる香りだが、これは成分の一種リモネンに洗浄作用があるため、理にかなっているそうだ。
「香りを嗅いでからの血流増加率は、実はほかの3つと比べても目覚ましいもの。ところが、実験後3分を境にガタッと下がってしまいます。同時間帯で、脳波に特徴的な変化が起こりました。直後にα波が上昇した後いったん下降し、再びα波優位に推移していくのです」
実験5分後の段階で、α波が優位だったのはスイートオレンジだけ。香りを嗅いでいる最中「眠くなった」という声もあったという。
「安静時や睡眠中は脈拍も遅く、血圧も低下しますので、これが血流の低下と関係しているのかもしれません。血流はいったん下がるものの若干持ち直し、実験前よりやや血流が多い状態となりました。イライラして眠れない夜は、スイートオレンジがあなたを癒してくれるでしょう」
もちろん、香りの好みはひとそれぞれ。苦手だと思う香りを無理に身につけると、返ってイライラを高めてしまうこともあるが……。
「TPOで香りを使い分け、それぞれの香りが持つパワーを借りてみてはいかがでしょう?」