image

「ここが僕の練習場所です。最近は寒いから家の中で練習してるけど、基本はここ。だって気持ちいいんだもん!」

 

自宅前にうずたかく積まれた漁網を指さし、1人の男の子が教えてくれた。彼の名前は川口拓万(たくま)くん。長崎県の五島列島にある、新上五島町立今里小学校の6年生だ。漁網は、漁師の父親・泰司さん(51)が定置網漁で使うためのもので、高さ3メートルほどの山になっている。

 

その網の山をギター片手に慣れた足取りで登り、てっぺんにたどりつくとギターを奏で披露してくれたのが福山雅治(46)の『HELLO』。ギターを左右に振り、サビではカメラにポーズを決めるなど、気分は完全に福山だ。

 

この拓万くんの動画が今、ネット上で話題になっている。動画を公開したのは’15年12月。同じころ、福山雅治のカバー曲を動画で投稿するコンテストが開かれ、拓万くんも「腕試しに」と応募してみた。すると、300組以上の中から予選を通過し、本選でも男性部門で2位に輝いたのだ。「まさか2位になるなんて!」と、本人も驚く快挙だ。

 

「あの動画は、ここで私がスマホで撮影したんです。だいぶ(ギターが)上達して、『そろそろ(動画)デビューしたい』と言うので。ギターをやるまでは、習字やソフトボールをしていましたが、続かなくて……。熱中するものが見つかってよかったです。ここまでのめりこむとは、思わなかったですけどね」(母親・実千代さん)

 

コンテストの結果、動画へのアクセス数は急増し、’16年1月22日現在で38万を突破。ネットで拓万くんはいまや「リトル福山」と呼ばれるほど。

 

そんな拓万くんが福山雅治と“出会った”のは、’15年8月のことだった。出身地でもある長崎市で、福山の野外ライブが開催されたのだ。親戚からチケットを譲られ、大喜びだった拓万くん。しかし泊まる場所を確保することができず、チケットは市内で寮暮らしをしている兄・周万くん(16)へ渡ることに……。

 

「みんなから『福山さんはカッコよかったよ』と聞くたび、拓万は『僕が誘われたのに……』と悔し泣きをしていたんですよ」(実千代さん)

 

しかしそれがきっかけで、拓万くんは福山のライブビデオを繰り返し見るようになり、その魅力にどっぷりハマっていった。

 

「将来の夢はシンガー・ソングライター。作詞・作曲もして、福山さんみたいに人々を勇気づけられるような歌手になりたいです」

 

そう元気に答える拓万くん。今後の活躍が楽しみです!

関連カテゴリー: