画像を見る

災害は、どこで起きても不思議ではない。9月1日は防災の日だった。この機会に、災害対策、特にお金の備えを見直そう。そこで、経済ジャーナリストの荻原博子さんが、火災保険、万が一のときの税金の控除やローンの免除について解説してくれた――。

 

今年は豪雨災害が続けざまに起きています。7月には平成最悪といわれる西日本豪雨があり、8月27日にはゲリラ豪雨が関東地方を襲いました。私はタクシーで移動中に遭遇し、雨と雷がこれほど恐ろしいかと痛感しました。

 

まず、災害の備えとなるのは、火災保険です。火災保険の多くは、火災だけでなく、水害や落雷、ガスなどの爆発、竜巻などの風害、雪害などもカバーします。

 

ただ注意が必要なのは、’98年以前に契約された火災保険です。当時は、住宅火災保険と住宅総合保険が販売されていましたが、住宅火災保険には、原則、水害補償が付いていません。20年以上前に契約したままだという方は、チェックしてください。

 

最近は、セゾン自動車火災保険の「じぶんでえらべる火災保険」のように、基本補償は火災、落雷、破裂・爆発の3つだけで、ほかはオプションというものも増えています。

 

マンションの上階なら浸水の心配がないため、水災補償をはずすなどのカスタマイズが可能で、保険料を節約できます。しかし、保険料節約のために、必要な補償を削っては本末転倒です。

 

持ち家世帯のうち、火災保険には82%が加入していますが、水災補償まで付けているのは66%です(’17年・内閣府)。加入中の火災保険を確認してみましょう。

 

次は、実際に浸水被害に遭い、損害が出た場合です。

 

お住まいの自治体で、罹災証明を受け、修理費用の領収書などは保管しておきましょう。確定申告で損害を申告すると、税金が減額されます。その際、「雑損控除」か「災害減免法による税の軽減免除」のうち、有利なほうを利用できますので、税務署などで相談してください。

 

さらに大きな被害を受けた場合、’16年4月からは「被災ローン減免制度」が利用できるようになりました。西日本豪雨のように「災害救助法」が適用される大災害で、たとえば土砂崩れで住宅が損壊し、ローンだけ残ってしまった方など、返済に困窮する方が対象です。

 

この制度は、現金や預金といった蓄えを最大500万円と、義援金などは手元に残して、それ以外の蓄えでできるだけ返済します。それでも残ったローンは、免除されるというものです。

 

自己破産などと違って、ブラックリストに載りませんから、住宅を再建するときなど、もう一度ローンを組むことができます。また、保証人にも返済義務がないので、迷惑をかけることもありません。

 

制度の利用には、世帯年収が730万円未満で、住宅ローンなどの住宅費用が年収の40%以上であるなどの条件があります。これは全国銀行協会が取りまとめた制度ですから、自治体ではなく、ローンの借入先である金融機関にご相談ください。

経済ジャーナリスト

【関連画像】

関連カテゴリー:
関連タグ: