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9月4日の台風21号と、9月6日の北海道地震で多くの家が停電と断水に見舞われた。いまだ多くの人が不自由な生活を強いられている。私たちの生活を支える電気と水道。これが止まってしまった場合、何が役立ち、どう生活すればいいのか。

 

夫と高校生の息子の3人暮らし、××県に住む秋子さん一家をモデルに考えてみよう――。

 

9月◯日20時24分、最大震度6強の地震が××県を襲った。就寝の準備をしていたとき、大きな揺れに驚かされた秋子さん。停電となり真っ暗な中、安全確認をする。自宅は津波や土砂崩れの心配のない立地で、一見大きな損傷もない。夜間の避難は危険と見て、自宅で過ごす決意をする。

 

「水が出ない」。息子にそう言われて、初めて断水に気付く。多少の飲料の準備はあるが、どれだけ持つのか、判断がつかない。危機管理教育研究所代表で、危機管理アドバイザーの国崎信江さんはこう語る。

 

「人は1日に飲み水は約2リットルが必要です。そのほか調理やトイレの水などの生活用水が5~6リットルほど。飲み水は減らしづらいですが、生活水は工夫次第で節約できる。歯磨きは液体歯磨きで、体を拭くのはウエットタオルにする。また、トイレも、ポリ袋と新聞紙を使えば水なしですみます。汚物は台所用漂白剤で消臭除菌したあと、密閉すれば、ゴミとして出せます」

 

翌日、携帯電話で情報を集めようとしたが、充電が心もとない。ラジオも、だいぶ前に壊れたきり、買いなおしていなかった……。高齢者などへの防災指導に取り組んでいる静岡県立大学短期大学部の江原勝幸准教授は次のように語る。

 

「ラジオとライトが付いていて、携帯も充電できる手回し発電機があります。災害時は情報が命綱。最低限のものは備えてください」

 

近くの小学校に給水車が来ているという情報が入り、家族総出で水をもらいにいく。だが、適当な容器が見当たらない。

 

「ポリ袋は二重にすればポリタンク代わりに使えます。持ち運びにくくなるので、水を入れすぎないのがコツです」(江原准教授)

 

水の確保はできたが、いつ復旧するか不明だ。ご飯はどうしよう。いちおうカップめんは買い置きしてあるが……。

 

「ラーメンなどは大量にお湯を使うので、よくない。災害時はできるだけ水や燃料は節約しなければいけないので、そうめんや、早ゆでのパスタがおすすめです。大量に作り置きして、オイルなどを絡ませれば、時間がたっても固まらずに食べられます」(国崎さん)

 

もちろん非常食の備蓄も大切だ。現在、各メーカーから水なしで食べられて、長期間保存できる非常食が発売されている。以前のものよりおいしくなっている。

 

「いつか来ると思っていても、実際に被災してから『しまった! あれがあれば』と後悔する人が驚くほど多いのです」(江原准教授)

 

国崎さんはこう話す。

 

「わが家では一定時間、電気や水道などのライフラインを止めて生活する、“おうちでキャンプ”を定期的に行っています。そうすると、何が困るのか、見えてくる。ぜひ夏場と冬場の年2回、挑戦してみてください」

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