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日本人の2人に1人がかかる「がん」。今年9月上旬、国立がん研究センター(東京都中央区)が初めて公表した「がん患者の3年生存率」は、71.3%で、乳がんはステージ1では100%、乳がん全体でも95.2%となった。

 

「かんの摘出手術をしたとしても入院期間は短くなり、通院しながら抗がん剤治療を受けるケースも増えてきました。“がん”と宣告されても、治療をすれば社会復帰できる時代になりましたので、慌てて仕事を辞めないこと。医療費の支払いという経済的な負担が伴いますので、治療を金銭面で支えてくれる公的制度を知っておくと安心できます」

 

そうアドバイスするのは、『大図解 届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)の著者で社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。そこで、がんなど病気にかかったときの、経済的負担を支える制度について教えてもらった。

 

■払い過ぎた税金が戻ってくる

 

1月から12月までに自己負担した医療費が10万円(または所得の5%)以上かかった場合、確定申告をすると、10万円を超えた分が所得から差し引かれる「医療費控除」が受けられる。

 

計算方法は、「1年間に医療費として支払った額」から高額療養費の給付や医療保険の給付金など「補てんされる額」を引き、さらに「10万円」を引くと医療費控除の額になり、税率に応じて税金が還付される。たとえば、医療費控除の30万円の人が、所得税の税率が10%だった場合、3万円が還付される計算になる。通院の交通費、医師の処方による医薬品は医療費控除の対象になるが、疲労回復のためのマッサージ代は対象外など、細かく分かれているので国税庁のホームページを参考にしよう。

 

なお、専業主婦の妻ががんになった場合は、夫が加入する保険の被扶養者なので高額療養費制度、付加給付は利用できる。会社勤めしていないので傷病手当金はもらえないが、障害年金は夫が会社員の場合は、妻は「第3号被保険者」として国民年金に加入しているので障害基礎年金がもらえる。夫が自営業の場合は、専業主婦の妻自身も国民年金に加入しているので障害基礎年金を受け取れる。

 

医師は医療費や使える制度について教えてくれるわけではない。そんなとき、病院内の「医療ソーシャルワーカー」や、全国400以上あるがん診療連携拠点病院にある「がん相談支援センター」では、社会福祉士や看護師らが、生活面での相談に乗ってくれる。気になること、わからないことはそのままにしないで、何でも聞いてみよう。

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