荻原博子教える「親族で裁判も…親族で墓じまいにかかるお金」

春のお彼岸。お墓参りに行く人も多いことだろう。だが、お墓が遠方でお参りに行けない人や、お墓の後継ぎがいないと悩んでいる人など、古いお墓を取り壊して「墓じまい」をしたいと考えている人が増えている。そんな墓じまいについて、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。

 

墓じまいの件数は5年前から約3割増え、’17年度初めて10万件を超えました(’18年・厚生労働省)。ただ、墓じまいは高額な離壇料を請求されたなど、ひどいケースが注目されがちです。実際の費用は、どれくらいなのでしょうか。

 

墓じまいは、墓地を更地に戻さねばなりません。そのため、古いお墓の撤去費用が必要です。お墓の広さ、立地条件などによりますが、平均20~30万円です。また、お墓を壊す前に執り行うのが閉眼供養。このとき、菩提寺に払うお布施などが、いわゆる離壇料です。3万~10万円だと良心的ですが、もっと高額な場合も。

 

そして、取り出したお骨は、どこかに納めねばなりません。お墓参りがしやすいように、身近な場所に新しいお墓をたてる方もいるでしょう。一般的な石墓だと、200万円ほどかかるようですが、納骨堂のような室内墓だともう少しお手ごろ価格です。

 

また、墓守がいらない永代供養墓を選ぶ方も多いです。たとえば、ほかの方のお骨と一緒に埋葬する合祀墓だと10万円くらいから。樹木葬なども人気があります。

 

こうした墓じまいの手続きは、今埋葬されている菩提寺などの「埋葬証明書」と、新しくお骨を納める霊園などの「受入許可証」を持って、古いお墓のある自治体に「改葬許可申請」を行います。菩提寺ともめると、埋葬証明書を出してもらえず、最悪、墓じまいできない事態にも陥ります。

 

ですから、菩提寺ともめず円満な墓じまいを心がけましょう。菩提寺と日ごろからのコミュニケーションをよくとること。また、墓じまいは早めに事情を話し、相談することが大切だと思います。

 

また、墓じまいのトラブルは、親族間でも起こります。昨年、「無断で墓じまいされた」と、親族を相手に、530万円の損害賠償を求める裁判がありました。墓じまいは家族だけで決めず、親戚などともよく話し合って進めてください。

 

最近では、墓じまいの代行サービスもたくさん出てきました。たとえば、「イオンのお葬式」を展開するイオンライフでは、手続き代行なども含めて、19万8,000円からで請け負ってくれます。

 

さらには、「スマ墓」というスマホアプリも登場しました。故人を思い出す場所をスマホで設定し、そこを訪れると故人の写真やメッセージなどが流れて、故人をしのぶというものです。

 

お骨は、スマ墓アプリを運営する良心石材という会社が、月500円で15年間預かってくれます。新たにお墓をたてる場合などはお骨を送ってくれ、そのままの場合は15年後に合祀墓に埋葬します。

 

弔いの形にも変化があり驚いてしまいますが、お彼岸に、親戚とも話してみてはいかがでしょう。