人生100年時代。これから迎える長い老後に、独り身ならなおのこと「お金はもつのか」と不安に思う人も多い。そんななか、老後の安心を得ようと結婚相談所に駆け込む50代女性が増えてきているというーー。
「50代以上の会員数は’06年に4,700人でしたが、’19年には1万3,000人と約3倍に増えました。女性の会員数も同じく2,100人から5,900人に増加しています」
こう語るのは、中高年専門結婚相談所「アイシニア」代表の池田淳一さんだ。今、さまざまな結婚相談所で50代以上の会員数が増えている。創業60年の中高年専門の結婚相談所「茜会」では10年間で会員数が3,000人から4,000人に増加。業界大手の「ツヴァイ」でも、女性会員数に占める50代以上の割合が’08年の3.6%から’18年に11.3%と約3倍になったという。
「以前は躊躇しながら相談所に訪れる人も多かったのですが、今は多くのお客様が気軽に説明会や見学パーティに参加されるようになりました」(茜会・広報担当)
さらに、注目したいのは結婚したい理由。
「’18年に行った結婚意識調査では、50代女性で最も多かったのが、同率で『経済的に安定したい』『老後の安心を得たい』だったんです」(ツヴァイ・広報担当)
■50代【結婚したいと思った理由トップ5】
(1)経済的に安定したいから……66.7%
(1)老後の安心を得たいから……66.7%
(3)好きな人と暮らしたいから……54.7%
(4)人生・生活を変えたいから……46.7%
(5)寂しさから解放されたいから……29.3%
■20代【結婚したいと思った理由トップ3】
(1)自分の家族を持ちたいから……62.1%
(2)子どもが欲しいから……58.3%
(3)好きな人と暮らしたいから……55.0%
■年代別結婚相手に「収入」を求める人の割合
20代……43.1%
30代……45.7%
40代……54.9%
50代……53.3%
結婚相手に求めることも年齢層が上がるごとに「収入」を挙げる人の割合は増える。50代女性では「性格・人柄」と「相性」の次に「収入」を条件にする人が多い。経済的な安定を求めて増える50代の結婚相談。池田さんはその理由を次のように話す。
「男性に比べて女性は、低賃金で収入が安定しにくい非正規雇用に就いている人が多いので、収入面で老後への不安を抱えやすい。それに、今は人生100年時代。50代はまだ折り返し地点で、『残りの人生をより豊かにしたい』『独りでは寂しい』と思う人が増えているのも理由でしょう」
では、実際に50代で新たなパートナーを見つけるのはどんな人たちなのか。池田さんに、今まで見守ってきた方のお話を聞いた。
■パート勤務で認知症の父も抱えていたけどーー「お義父さんも一緒に支えます」とプロポーズが
「離婚の経験がある55歳のA子さんは、子どもがおらず、ずっとパートで働いていたため収入面に不安を抱えていました。なおかつ、認知症の父親の介護もあって、精神的にも疲弊していたようです」
そこで、A子さんは経済面と精神面の両方を支えてくれる人を探そうと、アイシニアへ入会。
「1年間で約20人の男性とお見合いをされていました。通常、お見合いのペースは平均月1回なので、とても積極的に活動されていましたね」
こうした努力の結果、A子さんは会計事務所を経営する70代男性と出会った。
「2人とも趣味が旅行で同じだったこともあり、交際に発展。男性は頼りがいのある人で『お義父さんも含めてあなたを支えます』と、A子さんにプロポーズしました。一方で、A子さんに恋愛感情はまったくなかった。でも、男性は彼女が抱える問題に真摯に向き合っていて、どんなことでも話し合える『人として信頼できる』ことが決め手だったようです」
こうして入会から1年後、A子さんは、経済面と精神面の両方を支えてくれる年上の男性と、新たな人生を歩み始めた。
池田さんは50代も結婚のチャンスはあると話してくれた。
「訪れる人は10人中10人が『自分の年齢でも大丈夫ですか』と質問されますが、当社では4割の人がパートナーを見つけて退会されています。もし、結婚のお気持ちがあるようでしたら、勇気を出して一歩踏み出してみてください」
「女性自身」2020年2月4日号 掲載