三菱UFJ銀行は1月24日から、「Eco通帳(インターネット通帳)に切り替えて総額1億円プレゼントキャンペーン」を始めた。同行の普通預金口座を持ち、紙の通帳からEco通帳に切り替えた人先着10万人に、1,000円をプレゼントするキャンペーンだ。そんなネットバンキングについて、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。
■現金プレゼントで紙の通帳からいよいよネットバンキングへ
Eco通帳は、インターネット上で取引明細などを見るものです。Eco通帳にするとこれまでの紙の通帳は使えませんが、通帳の記帳や更新といった手間から解放されます。入出金などの記録は、スマホなどから過去25カ月分がいつでも確認でき、「お取引推移表」を申し込めば、最大過去10年間の明細を取り寄せることもできます。
Eco通帳にするにはネットバンキングの契約が必要です。スマホなどから申し込み、パスワードなどを登録すれば、同行ATMがいつでも手数料無料で使える特典もあります。キャンペーンは3月15日まで。プレゼントの1,000円は、3月末に口座へ入金されます。
このキャンペーンは、タイトルにもあるように総額1億円。それだけ使っても実施するのは、大きなコスト削減につながるからです。
たとえば印紙税です。紙の通帳には年200円の印紙税がかかります。三菱UFJ銀行の個人客は約3,400万人ですから、印紙税だけで年60億円以上負担しています。キャンペーンで10万人がEco通帳にすると、年2,000万円が節税でき、プレゼント総額の1億円は印紙税5年分で元が取れます。
また、紙の通帳自体にもコストがかかります。通帳を紛失した際、再発行には1,000円程度の手数料が必要です。通帳は特殊な加工も多く安いものではないのです。それを無料で提供するコストが、Eco通帳ならいりません。
銀行は、長引く不況やマイナス金利政策などの影響で、厳しい局面にあります。人を減らし、店舗を減らし、身を削ってコスト削減に向かうなか、入出金や振り込みなど簡単な取引は人件費の高い店舗に来ないで、ネットバンキングですませてほしいのです。
そのため、たとえば振込み手数料は、店舗窓口→ATM→ネットバンキングの順に安くするなど、手数料に差をつけ、ネットバンキングに誘導しようとしています。Eco通帳もその一環で、残高をATMや窓口での照会からインターネットで確認するようになれば、ネットバンキングの利用が増えると考えたのでしょう。
今後、銀行の店舗はソファの相談ブースを増やし、投資や相続などの相談や運用がメインで、庶民の行く場所ではなくなっていきます。これは三菱UFJ銀行に限った話ではありません。
消費税の増税もあり、家計は厳しくなる一方です。銀行に手数料を払っている場合ではありません。手数料の高い銀行口座を避け、ネットバンキングを使いましょう。案外簡単ですからトライしてみて。
また、銀行に行かなければ、金融商品を勧められることもありません。親御さんにも教えてあげるといいと思います。
「女性自身」2020年2月18日号 掲載