「4月から子どもは中学生。私が働きに出ても大丈夫かな」ーーそう思ってはみたものの、久しく家事や育児に追われて過ごしてきた今、また就職って……そんな不安なアナタ! 子育て期間はブランクではなく貴重な経験値なのですーー。
「主婦が家事や育児に専念している期間は“ブランク”といわれます。でも、毎日、家のことを切り盛りするなかで、磨かれたスキルもあるはず。私はそれを“家オペ力”と名付けました」
そう語るのは、「しゅふJOB総研」の川上敬太郎所長。’11年から、仕事と家庭の両立を希望する、働く主婦層の声を調査してきた。
「たとえば、炊事、洗濯、育児や介護などを効率よくこなせるのは、『段取り力』があるということ。ご近所やPTAで、世代を超えたつきあいができるのは『コミュニケーション力』。必要な食材が、いちばん安く売っているスーパーを探すのは『コスト改善』です。専業主婦の皆さんが当たり前と思っているシーンでも、仕事のスキルにつながる“家オペ力”が磨かれているのです」(川上さん・以下同)
働く主婦3万人の調査を行ってきた川上さんは、この春以降の主婦の就活状況を、次のように分析する。
「結婚して子どもを産むと、それまでのキャリアを横に置き、そのまま『専業主婦』になる、あるいは育児が少し落ち着いたところで『パート(ショートタイム)』で働く、という時代が長く続きました。キャリアを生かすために、夫婦で上手に家事を分担し、『フルタイム』で働く人も増えてきましたが、多くの女性にとっては、なかなか難しいというのが現状でしょう。そんななか、キャリアを継続しつつ家庭とバランスを保つことができる『スマートキャリア』という働き方が注目されています」
なかには週に3日、10時から15時まで出社し、あとは在宅でーーというようなスタイルの働き方もある。しかも正社員として採用、あるいは給与も、与えられる責任も正社員並みというケースも。もう一度キャリアを、と考える主婦には理想的な働き方といえる。
「また、50代の主婦に、働き手としての注目が集まっています。子育てが一段落したことで時間的余裕があり、人生経験がスキルとなっていて、信頼感の高い人が多いのが、その理由。アラフィフ主婦の潜在的な“働く力”を、企業も求めているのです」
しゅふJOB総研の調査では、50代女性の応募が’17年から’19年の2年で1.8倍に増加した求人サイトもあるという。“働く意欲”も増してきているのだ。
「家事代行サービスで活躍している元専業主婦の方はやはり多いですね。レストランのホールやキッチンで見せる、きめ細やかな仕事ぶりも企業から好評です。ていねいで落ち着いた対応が欠かせないコールセンターや、世代を超えた人が集まる銀行や病院の受付で活躍している主婦も多い。多くの企業が主婦に求める今こそ、“家オペ”でスキルを磨いて再就職するチャンスです」
「女性自身」2020年3月17日号 掲載