「昨年に金融庁が公表した『老後資金2,000万円不足問題』をきっかけに、定年を間近に控えた人たちを中心に、老後に対する不安が高まっています」
そう話すのは、“保険のプロ”として活躍するファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん。日ごろのちょっとした買い物から大きな決断まで、お金の使い方はその選択一つで得することもあれば、損を招くことも。そこで、カギとなる消費の1コマを2択クイズで出題! 保険・金融資産選びで得するのはどっち?
【Q1】銀行の手数料を抑えるには?
大手都市銀行 or ネット銀行
正解は、ネット銀行。「ATM手数料を例にとると、住信SBI、オリックス、楽天、新生といったネット銀行は条件さえクリアすれば、24時間無料(回数制限等あり)。条件をクリアするためにはメイン銀行をネット銀行にするのが近道です」(長尾さん・以下同)
【Q2】生命保険のお得なタイプは?
掛け捨て型 or 貯蓄型
正解は、掛け捨て型。「現在、日銀のマイナス金利の影響で、終身保険や学資保険などは元本がほとんど増えていかないというのが実情。貯蓄型の保険はあまり魅力のないものに。『保険は貯蓄ではなく保障』と割り切って、掛け捨てを選択すべき」
【Q3】今から夫が新たに加入するなら?
医療保険 or 就業不能保険
正解は、就業不能保険。「就業不能保険は、ケガや病気で働けなくなった状態が60日、または180日続いたときに毎月決まったお金が出る保険。掛け金は医療保険とほぼ同じくらい。いざというときの安心度は就業不能保険のほうが高いです」
【Q4】退職金のお得な受け取り方は?
年金払い or 一時金
正解は、一時金。「年金で受け取ると、利子が付いて総額が増えます。しかし、雑所得として毎年税金がかかり、社会保険料も増額に。一時金で受け取ると、退職所得控除で税金がかからないことが多く、受け取り時の手取り総額では有利になります」
【Q5】主婦の老後に保険で備えるには?
介護保険 or 認知症保険
正解は、介護保険。「認知症保険は、認知症と診断されれば保険金が支払われます。ただ、認知症になる人の割合は5人に1人になるといわれています。いっぽう、介護状態になる人は2人に1人との統計が。確率を勘案すると介護保険への加入が安心」
【Q6】老後資金をためるために優れているのは?
NISA or iDeCo
正解は、iDeCo。「iDeCo(個人型確定拠出年金)は掛け金の全額が税金の控除の対象になるので非常に有利。NISA(少額投資非課税制度)は配当金や売却益などが非課税。iDeCoは60歳まで現金化できない制限こそありますが、税制面の優遇度合いではiDeCoのほうが上」
老後の備えについて長尾さんは次のように語る。
「公的年金は破綻することはありませんが、額は減るかもしれません。老後の備えは公的年金を軸に、そこにプラスしてiDeCoやNISAなどを活用した積み立てを勧めます」
「女性自身」2020年3月24・31日合併号 掲載