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「夫は毎晩のように、新型コロナウイルスの怖さから感染予防法まで延々と説明します。『知らなかっただろ』と語るわりには、聞いたような話ばかり。スマホで集めた情報でドヤ顔されてもねえ……」(40代主婦)

 

「NHKの人気番組『ブラタモリ』を見ていると、“男性(タモリ)が女性(女子アナ)に知識を説明してやっている”という構図が目についてうんざりする。これは、“マンスプ”だよね」(50代女性)

 

上から目線でものごとを解説してくるような“うんちく夫”にモヤモヤしているという妻は少なくない。50代女性が語った“マンスプ”とは、「マンスプレイニング」の略。これは、man(男)とexplaining(説明すること)という単語をかけ合わせた造語だ。心理カウンセラーの高見綾さんは、つぎのように解説する。

 

「男性が女性に対して“見下したような態度”でものごとを説明することを表した言葉です。欧米では、ハラスメントのひとつとして認識されています。女性が黙ったまま我慢して聞いていると、男性側はますます“自分が優位に立っている”という思い込みが進んでいく。その思い込みが、夫婦間ではモラハラ、職場内ではパワハラにつながる可能性もあるのです」

 

なぜ、男性は女性に対してうんちくを語りたがるのだろうか。

 

「男性は『人の上に立ちたい』という支配欲が強いといわれています。それに加えて『女性はものを知らない』という先入観がある人もいる。“うんちく夫”にとっては、自分の知識をひけらかすことが、女性の上に立つための手段なのです」

 

それは、自分に自信がないことや、“妻に自分の話を聞いてほしい”という承認欲求の裏返しでもある、と高見さんは続ける。では、夫にドヤ顔でうんちくを語られたとき、どのように対処すればよいのだろうか。

 

エッセイストで元TBSアナウンサーの小島慶子さん(47)は、「夫に“インタビュー”をしてみては?」と対処法を提案する。

 

「たとえば、美術館に一緒に行き、展示の解説に書いてあるようなことを得意げに夫が話し出す。そんなとき、『私はあの絵が好きだったけど、あなたはどう思った?』と切り返すのです。評論やうんちくではなく、夫の心にある感情や思考を引き出すような“インタビュー”をすること。自らの心の内を語る機会って、男性はないんですよね。意外な発見があるかもしれませんよ」

 

TBS時代、「専門家に気持ちよく語ってもらうのが女子アナの仕事。女性はニコニコして聞いていればいい」という不文律に違和感があったという小島さん。

 

「男性は職場内での決まりきった会話しか交わしていませんが、その間に女性はママ友や親戚、子どもといったさまざまな関係の人と、いろんな種類の会話をこなしている。トークスキルは、女性のほうが上なんですよ。“うんちく夫”に直面したら、インタビューで誘導して、“自己開示の練習をさせてしまおう”と考えると、会話しがいがあるかも。“うんちくよりも、自分自身のことを話せよ”と。ただ、自戒をこめて言うと、女性も立場が下の人に対して、一方的に話してしまうこともある。“楽しい会話は、対等な関係から生まれる”ということを頭に入れておきたいですね」

 

「女性自身」2020年4月7日号 掲載

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