日本人の平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳で、差はおよそ6年。別離は想像したくないけれど、夫の没後も生活が成り立つか、誰もが考えないといけないーー。
「もし、あなたが自営業者やフリーランスとして働く夫を亡くした場合、夫が会社員の人ならもらえる『遺族厚生年金』がありません。平均寿命が男性より長い女性は、夫の死後に訪れる生活について、早めに考えておく必要があります」
そう話すのは、年金に詳しいファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんだ。年金保険料を25年以上納めていた元会社員の夫が亡くなった場合、夫が受給していた老齢厚生年金の4分の3を妻は受け取ることができる。
「夫婦2人の国民年金(老齢基礎年金)は約13万円、夫の現役時の収入で決まる厚生年金の報酬比例部分が約9万円、合計約22万円を受給していた夫婦がいたとします。夫が亡くなった後でも、厚生年金の75%にあたる約6万8,000円が終身で受給可能。自分のぶんの国民年金とあわせ、月に13万円ほどの年金を受け取ることができる」(山中さん・以下同)
だが、これは厚生年金加入者だけの制度。自営業者やフリーランスなど、国民年金のみに加入している第1号被保険者にはこれに類する制度はない。
「子どもがいる家庭であれば、『遺族基礎年金』の対象になることがあります。妻と子どもを扶養していた夫が亡くなった場合、年額78万1,700円と、子どもの数に応じた加算(第1子・第2子は年22万4,900円、第3子以降は7万5,000円)を支給する制度です。しかし、原則として子どもが高校を卒業すると、受け取ることができなくなります」
■夫の没後はこんなに違う
【厚生年金を受給している夫婦】
22万724円(厚生年金9万442円夫と妻の国民年金6万5,141円×2)
〈夫が亡くなったら〉
13万2,973円(夫の厚生年金の75%6万7,832円、妻の国民年金6万5,141円)
【国民年金のみを受給している夫婦】
13万282円(夫と妻の国民年金6万5,141円×2)
〈夫が亡くなったら〉
6万5,141円(妻の国民年金6万5,141円)
※厚生労働省「令和2年度の年金額改定について」より本誌が作成。厚生年金をもらっている夫婦は夫が平均的な収入(平均月額43.9万円)で40年間加入し、その間に妻が専業主婦だった夫婦。国民年金をもらっている夫婦はいずれも年間加入し、満額で支給された場合。
国民年金に限った保証制度もあるにはあるが……。
「10年以上国民年金に加入していた夫が亡くなった場合、生計を維持されていた妻に対して60歳から65歳になるまで、夫が本来受け取るはずだった老齢基礎年金の4分の3が受け取れる『寡婦年金』制度があります。また一定の条件を満たせば、『死亡一時金』も受け取れますが、最高額でも32万円。いずれも、長い老後の生活に安心を与えてくれるものではありません」
今から計画的に備えておこう!
「女性自身」2020年7月28日・8月4日合併号 掲載