「被災時に上下水道が止まると、切実に困るのがトイレです。食事や環境の変化によりおなかを壊せば、さらにトイレが必要になる事態にもなりかねません。特にここ数年の夏は暑さが厳しいので、ただでさえ体調管理が大変。トイレに行きたくないからと水を我慢すれば、熱中症で命を落とす危険さえあります。また、夏はにおいが発生しやすいのも大問題。女性の場合は排せつに対する羞恥心が強いので、トイレ問題はかなりのストレスになります。いざというときのために、安心して排せつできる簡易トイレを準備しておくのは、防災の基本です」
こう話すのは、今までに20種類もの簡易トイレを実際に試してみたという国崎信江さん。その結果、ベストなトイレを選ぶには4つのポイントがあるという。
「まずは便袋が透けないかどうか。外から見えるのは自分でも不愉快ですし、ゴミとして出したときも恥ずかしいですよね。次に、固める・においを消すといった能力と併せ、処理のしやすさです。暗いなかで作業するかもしれないし、平常心を失っているかもしれないことを考えると、あとからふりかけるタイプだと失敗する可能性が高く、においをかぎながらの作業は気分が悪いもの。続いて、便袋は1回1回取り換えたいので、ムダに大きいものはNG。大きな袋を結んで密閉するのにもかなり力がいるので、サイズと閉じ方もチェックが必要です。最後に、それなりの回数分を用意しておくことを考えれば、収納性も重要。これらをもとに、家庭の事情に合わせ選んでください」
さらに、トイレに関連する女性ならではの準備が、もうひとつ。
「女性は体の構造上、蒸れやすいので、簡易ビデや洗浄綿を用意しておくといいですね。洗浄綿は赤ちゃん用のお尻拭きでもOK。万が一、避難所で生活する場合も、これがあれば安心です」
仕上げに、夏ならではの対策を。
「やはり、暑さ対策です。シーツや下着、マスク、タオルなど、冷感タイプがあるとずいぶん違います。災害用に特別に用意するのではなく、日常から使っておけば一石二鳥です。今、災害が起きて電気が止まってエアコンが使えなかったら、という視点で買い物に行ってみましょう。たとえば、うちわや扇子、携帯扇風機など、100円ショップにも活用できるものが意外とあるんですよ」
「女性自身」2020年8月18日・25日合併号 掲載