「所得税法上、個人が手にするお金はほとんどが稼ぎやもうけとみなされ、税金がかかります。非課税になるのは、所得税法第9条などで決められた“例外”だけです」
そう話すのは総合情報サイト「All About」で税金ガイドを務める税理士の田中卓也先生だ。課税・非課税は見分けづらいが、「慰謝料」を例に考えるとわかりやすいという。
「離婚などで払う慰謝料とは、それまでに受けた精神的苦痛などの損失を、金銭で補填するものです。損失のない状態をプラスマイナスゼロとすると、損失分のマイナスを慰謝料で補填して、ゼロに近づけるイメージです。税金は、稼ぎやもうけなどのように、現状よりプラスになるものにかかります。マイナスの補填である慰謝料などに、税金はかかりません」(田中先生・以下同)
だとしたら、次のうち税金がかからないのはどっちだろう? 田中先生が解説!
■「特別定額給付金」と「持続化給付金」税金がかからないのはどっち?
コロナ禍で緊急事態宣言発令中の5月に申請が始まった1人10万円の特別定額給付金。すでに振り込まれた人も多いだろう。これに、もし税金がかかるなら、せっかく手にした10万円が目減りしてしまう?
「これは慰謝料の例と同じように説明できます。特別定額給付金は、コロナ禍で経済的・精神的・社会的などの損失を受けた私たち=マイナス状態の人に、その補填として支払われたものです。つまり、プラスを生む稼ぎやもうけではないので、非課税です」
税金がかからず、丸々10万円受け取れると聞いて、ひと安心。では、中小企業やフリーランスなどに支給される持続化給付金はどうだろう? こちらもコロナ禍で困窮した事業者に支給されるものだが……。
「持続化給付金は、売り上げが前年同月と比べて50%以上落ち込んだ事業者に支給されるものです。通常営業なら稼げるはずの売り上げが減ってしまったため、持続化給付金を上乗せして売り上げ=プラスを増やす。つまり、持続化給付金は稼ぎやもうけと同様と考えられるので、課税されます。ただ持続化給付金を収益に含めても、1年を通して赤字の場合は課税できません。結果的に非課税になるケースもあるでしょう」
正解は……特別定額給付金。
「女性自身」2020年9月1日 掲載