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「突然の水漏れに慌てて業者を呼んだら、数十万円という法外な代金を請求された……」。こんな被害が急増しているという。緊急時の弱みに付け込む手口とはーー。

 

「ぼったくりとわかったときはショックで、数日間は何も手に付きませんでした。だまし取られたお金は、介護施設で働いてためてきたもの。同居する母は足が不自由でトイレが使えないのは困ると慌ててしまったんですね……」

 

そう語るのは、9月12日、70万円という、トイレ修理代としては法外な工事代金を支払った愛知県在住の鈴木寿美さん(仮名・60)。

 

トイレ修理の高額請求トラブルが急増している。全国の消費生活センターに寄せられたトラブル相談は、’13年度は550件だったが、’19年度には1,157件と倍増。その手口を鈴木さんに聞いた。

 

「トイレの床が水浸しになっているのに気づいたのが朝8時45分ごろでした。母が使っている尿漏れパッドが詰まってしまったみたいで……。初めてのことで慌ててしまい、スマホで〈トイレ つまり〉と打ち込み、いちばん上に出ていた『つまり修理780円〜』『24時間対応』と書かれたサイトに電話しました」

 

1時間後、鈴木さん宅を訪問した修理業者は人当りのいい40歳前後の男。すぐにでも直してもらいたい一心で、鈴木さんは料金説明を受けなかったようだ。

 

「吸引ポンプで試しても詰まりは解消できなかったそうで、『便器を外さないといけない』と言われたので同意しました。それから1時間弱ほど作業していましたが、配水管の奥で詰まっているようだから『大がかりな工事が必要』と言われ、そのとき初めて工事が50万円かかると言われたのです。『え〜、高いですね』と口にしたら、薬品を使うなど作業が困難だからと言われて……」

 

修理代の適正価格を知らなかった鈴木さん。“困難な工事”という業者の言葉を信じたのと、トイレに行けない母のために早く解消したい気持ちもあって、納得してしまったという。

 

「しかも、それまでの1時間弱の工事費は別料金だと言われ、全部で70万円になると。手元に大金がないと言うと、『現金払いだと割引になるから下ろしてきてください』と言われたので、銀行のATMまで走ったのです」

 

廊下に薬品を10個以上も並べて始まった“大がかりな工事”は小一時間ほどで終わった。

 

「母の介護もあり、すべての工事を見ていたわけではありません。作業は何時間もかかると覚悟していたので拍子抜けでしたが、トイレが使えるようになったことで安心したんです。その後、兄がやってきて《薬品散布16万円、異物粉砕13万5,000円、通貫作業15万円》など作業内容が書かれた明細書を見ました。兄は不審に思って友人である市の指定の水道業者に連絡しました。友人は明細書を見てすぐに『これはだまされているぞ』と。作業内容に書かれている薬品は使用しなくてもいいはずだし、料金も1ケタ多い。『自分ならすべて5万円で修理できる』とあきれた顔で言われたそうです」

 

現在、法外な工事費用の減額をもとめ、弁護士が鈴木さんと修理業者の間に入って交渉が続いているが「返せない」と一点張りの業者とは平行線が続いているーー。

 

「女性自身」2020年11月3日号 掲載

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