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男性と比べて平均寿命が約6年も長い女性にとって、夫の死後の人生をどう生きていくのか、というのは避けては通れない問題です。いずれ来る「その時」を乗り越えるためにきっちり備えておきましょうーー。

 

■財産分与では1円だって取りこぼしたくない!

 

一家の大黒柱である夫がひと足先にあの世に行ってしまったとき、妻の心にはさまざまな不安が去来する。今後も今までどおりの生活が送れるのか、老後は安泰なのか……そんな悩みを解決できるのは、やっぱりお金。手元に残るのは、多ければ多いほど安心だ。

 

そのお金を考えるにあたり避けて通れないのが、財産の相続。財産とは、現金や預貯金はもちろん、株や投資信託、土地建物などの不動産、夫の個人的な持ち物まで広く含まれる。相続に詳しい弁護士の竹内亮さんはこう話す。

 

「相続するのが自分ひとりなら問題ないのですが、法律では亡くなった人の財産を相続する『法定相続人』が定められており、夫の財産を相続するのは妻であるあなただけとは限りません。相続できるはずの財産を取りこぼしたくないと考えるのであれば、まず、ほかの相続人と遺産分割の話し合いをせずに済むよう、夫に『遺言』を書いてもらうことです。『すべての財産を妻に相続させる』と書いておいてもらえば、基本的にすべて妻が相続することに。ただしその場合、借金もすべて妻が相続することになるので、夫とよく話し合い、相続のときまで持ち越さないようにしましょう」(竹内さん・以下同)

 

とくに子どもがいない夫婦の場合は、義父母、もしくは義理のきょうだいも相続人となるので、もめたくなければ必ず夫に遺言を用意してもらおう。子どもがおり、子どもにも相続させる場合は、妻の生活に必要な土地建物と預貯金が残るようにする。

 

「このとき注意したいのが、『妻80%、長男10%、長女10%』のように割合で遺言を書かないこと。土地建物や株式など、割合で分けるのが難しい財産も多いので、『土地建物とA銀行の預金は妻、B銀行の預金とC証券の株式は長男』のように財産ごとに相続する人を決めましょう。財産の多寡にかかわらず、割合による分割はもめ事のタネになります」

 

遺言を準備しても、その後、新たに口座を開いて株取引を始めるなど財産が増えることも考えられる。遺言に書かれなかった財産を取りこぼさないようにするには、遺言の最後に「以上に書いたもの以外のすべての財産は妻に相続させる」と書いておけば安心だ。

 

ちなみに、夫の死の数年後に、存命だった義父母が亡くなった場合、“お嫁さん”である自分が義父母の財産を相続することは可能なのだろうか。

 

「法律上は不可能です。財産を分けてもらうには、第三者への『遺贈』などという形をとるしかありません。その文言を遺言に残してもらう必要がありますが、現実的にはハードルが高いでしょう。もうひとつの手段として考えられるのが『特別寄与料』という制度。亡くなった人に対し“特別の寄与”をした場合、相続人になれないお嫁さんでも財産の一部を受け取れます。たとえば、お嫁さんが介護士に代わって義父母の介護を相当に行ったケースなどが当てはまります。ただし、相続のようにまとまった財産を受け取れる可能性は低く、また、義父母が遺言を残していた場合、この制度は利用できません」

 

「女性自身」2021年3月2日号 掲載

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