ATMの削減、通帳の有料化、そして最後のとりでだった“信頼”すら失われつつあるメガバンク。いまこそ、ネット銀行への乗り換えを検討すべき時期だーー。
「みずほ銀行は3月12日、外貨建て送金でおよそ300件の遅れが生じた事案を報告しました。2月28日に全国の約8割にあたるATMが動かなくなるなど、わずか約2週間で4度ものシステム障害を起こしました」
そう語るのは、ネット銀行のサービスに詳しい金融サービスアナリストの大和田智美さん。
「安心だから」「トラブルが少なそうだから」。そんな理由でメガバンクをメインバンクに選んできた人も多かったが、みずほ銀行の事例で、それが“神話”にすぎなかったことが明らかになった。
「いまメガバンクでは通帳の有料化やATMや支店の削減が進んでいます。メガバンクを使い続けると、不便どころか、損する時代になりつつあるのです」(大和田さん・以下同)
そこで、検討すべきなのが「ネット銀行」に口座を作ることだという。
「ネット銀行とは、銀行の店舗を持たず、ウェブ上やスマホで銀行取引ができる銀行のこと。メガバンクが運営しているネットバンキングとは別物です。店舗がないという不自由はありますが、そのぶん運営コスト(設備費、人件費など)が安く抑えられており、ほかのサービスが充実していることが多いのです。他行のATM利用が条件付きで無料になったり、振込手数料が安かったり、無料になるような場合もあるんです」
どのネット銀行がおすすめなのだろうか。ライフスタイル別におすすめのネット銀行を教えてもらった。
まず、生活の地域からみてみよう。都心に住んでいる人はコンビニを利用する機会が多いだろう。
「セブン銀行とローソン銀行は、7〜19時の間、それぞれのコンビニ店内にある専用ATMで引き出し手数料がかかりません。ただし、セブン銀行のキャッシュカードはゆうちょをはじめ、一部メガバンクのATMでも利用可能なのに対し、ローソン銀行のカードはローソン銀行でしか使えません」
郊外に住んでいる場合、大型スーパーの利用機会が多いだろう。国内最大のシェアを誇るイオンの店舗を利用している場合、イオン銀行がおすすめだ。
「イオン銀行のATMでの引き出し手数料は24時間無料。ATMはイオンの店舗のほか、系列のミニストップにも設置されています。さらに、三菱UFJ銀行とみずほ銀行のATMなら平日の日中、ゆうちょ銀行なら土曜日の一部の時間も含めて、引き出し手数料が無料になります」
セブン銀行もイオン銀行も、口座とひもづいた各種カードを作ることで、買い物時のポイント還元率がよくなるという利点もある。
■メガバンクよりも住宅ローン金利が低い
コロナ禍でネットショッピングの利用が広がった。
「楽天銀行は楽天市場で利用すると、ポイントがアップします。また楽天証券など、楽天が提供するサービスの決済に楽天銀行の口座を使うと、預金の金利が上がったり、楽天ポイントがもらえたりと、恩恵がある。もうひとつは、4月5日からPayPay銀行に社名変更される現・ジャパンネット銀行。こちらは、ヤフーオークションの利用口座にすると、決済手続きが簡略化されるほか、Tポイントを同行の預金に交換できます」
ネット銀行によっては、住宅ローンを扱っている。
「金利はメガバンクよりも低く抑えられていることが多いですね」
そんななかおすすめが、もともと金利が低いうえに、系列会社のユーザーであればさらに金利を低くできるauじぶん銀行だという。借り換えにも対応しているので、すでに住宅ローンを組んでいる人は現在の金利と比較してみよう。
さまざまな場所でATMを使いたい人や振り込みをする機会が多い人におすすめなのが、ソニー銀行と住信SBIネット銀行だ。
「大手コンビニ3社などのATMで、ソニー銀行は月4回まで、住信SBIネット銀行は月2回まで現金引き出しが無料。両行とも月1回、他行宛ての振込手数料が無料になります」
住信SBIネット銀行は4月1日からサービス内容が変更になる。
「本人確認をスマホで認証する『スマート認証NEO』登録するだけで、月5回までATM利用料と他行宛ての振込手数料が無料となります。セキュリティも向上するので、メリットは多いでしょう」
新年度に向けて、あなたの利用の仕方に合ったネット銀行の口座を開設してみては?
「女性自身」2021年4月6日号 掲載