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「多額の負債を抱えて『夫には言えない』、と悩む人は少なくありません。出費を言いだせず夫婦の不和を呼び、さらにストレスがたまる、というケースもあります」

 

そう話すのは離婚経験を生かし、カウンセリング的手法で夫婦問題に向き合う弁護士・原口未緒先生。

 

「コロナ禍で収入が激減し、やむなく借金をしてしまった人も多いです。借入金が膨らみ、完済のめどが立たない場合、基本的な選択肢は以下のようになります。高い金利を再計算し返済計画を立てる『任意整理』。借金の元金も減らせる『個人再生』。全ての返済義務が免責となる『自己破産』です」

 

これらの手続きを踏み、免責を受けると一定期間、借金ができないなどの制約もある。

 

「救済のための法律ですから、悲観しないで。ただ、一時的に借金を清算しても、根本原因は解決しないといけません。第三者に相談すれば道は開けます。一人で抱え込まないでくださいね」

 

そんな「コロナ禍借金」について、原口先生が実例をもとにアドバイスをしてくれた。

 

■好意で無料にしてもらっていたテナント料を請求されて……

 

エステサロンを営んでいます。昨年のこと。「お店が軌道に乗るまでタダでよいから」と言われ、知人が所有するビルの空室を無料で借りていました。ですがコロナ禍で軌道に乗らず。その後、コロナの影響もあり、オーナーである知人は豹変。「いままでの賃料も月額15万円で12カ月分まとめて払ってほしい」と催促されました。実は「形式だけだから」と言われ契約書にサインをしているのです。夫に「タダで貸してもらえている」と大見えを切った手前相談できず。返済義務はあるのでしょうか。(60歳・自営業・主婦)

 

【回答】「契約書がカギ」

 

いかなる場合でも契約書の有無が明暗を分けます。契約書がある場合、たとえ口約束で支払わなくてよいと言われたとしても、その契約書にサインをした以上、支払い義務は法的にはあります。

 

貸し主さんは「形式だけ」と言っても契約書を書かせていることに悪どさを感じます。ダンナさんに怒られますか? であればあなたの判断で速やかに対処しましょう。まずサロンはお客さんも減ってしまっているのなら、直ちに立ち退くべきです。

 

支払い額は180万円ですが、もし払えないとしたら、あなた名義の契約であれば、自己破産という道もありますが、この先コロナが終息しようとしまいと事業をしていく気持ちがあるのなら交渉で解決するのがベストだと思います。

 

これくらいの額であれば、貸し主さんには、「いままでご厚意に甘えてしまっていたけれど、いまはこんな状況で払うことはできません」と丁重に謝って数万円程度をお渡して、なんとか勘弁していただく。言葉で誠意だけは見せ、交渉するのです。

 

「私のお店の後に景気のいいお店が入るといいね」とあくまで低姿勢で、「困窮していて払えない」ことを強調するのです。(原口先生)

 

「女性自身」2021年4月6日号 掲載

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