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「福島県相馬市では、64歳以下のワクチン接種がすでに始まっています。7月中に16歳以上の2度目の接種が『おおよそ完了する』予定で進められているんです」

 

こう話すのは、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師だ。テレビのコメンテーターとしてもおなじみの上さん。現役臨床医としても、相馬市の集団接種会場でワクチン接種に従事している。

 

「電話がつながらない」などのトラブルの多い予約制ではなく、行政が地区ごとに日時を指定する独自方式を採用した相馬市では、5月31日時点で、65歳以上の85%が1回目の接種を終了した。

 

6月1日からは64歳以下の接種も始まり、「相馬モデル」は全国で注目されている。全国各地で進むワクチン接種。

 

「接種したら旅行に行きたい」
「施設の母を見舞いたい」

 

そんなふうな、期待を持っている人も多いはずだが……。

 

「ワクチンを打ってもすぐに効果が得られるわけではありません。また、行為によってリスクは違いますから、いつからやっていいかは、それぞれ異なるのです」(上さん・以下同)

 

それではワクチンを接種してから、何をどのタイミングでやっていいようになるのか。上さんに教えてもらった。

 

新型コロナのワクチンは2回の接種で「望ましい効果が得られる」とされている。

 

1回目の接種後、2週間ほどたってから効果が出始め、3週間(21日間)以上あけて2回目を接種。さらに、それから7日たつと、十分な免疫が得られる。よって、「マスクなしでの会話」は、2回目の接種から7日たつまでは控えたほうがいいという。

 

「マスクをつけて家族以外の人と会ったり会食をしたりする場合も、ワクチンの接種状況が重要になります。自分か相手のどちらかが、接種によって十分な免疫を獲得している場合は、問題ないでしょう。そうでなければ、会わないのが望ましいです」

 

双方が接種していない状態で会わないといけない場合は、会食は避け、できるだけソーシャルディスタンスに気をつける必要がある。では、レクリエーションは?

 

「『映画観賞』は、館内でもほとんどしゃべりませんので、私は『1回目の接種の14日後から』で大丈夫だと考えています。東京五輪も含めた『スポーツ観戦』も『屋外』なら、ウイルスが希釈され、リスクが低いですから、同じ基準と考えていいでしょう」

 

しかし同じスポーツ観戦でも、「屋内」の場合は「2回目の接種の7日後」までは控えたほうがいいという。

 

「屋内の観戦は、密閉空間で歓声を上げてしまう可能性があるので、感染リスクが高まります。スポーツジムでの運動やカラオケなども同様。やはり、体が触れ合う行為も、2回目の接種の7日後まではやめたほうがいいですね。しかし、必要な医療行為をうけるのは、躊躇することはありません」

 

もう1年半近く旅行をしていない人も多いと思うが。

 

「家族での旅行は、いつも一緒に生活しているのであれば、基本的に問題ありません。しかし、団体ツアー旅行などは、十分な免疫を得るまではやめてください」

 

■いつまで効果が続くかは研究中

 

一方、まだ不明なことも多い。

 

「ワクチンで得た免疫の効果がいつまで持続するのかは、まだ研究段階です。もしかしたら、免疫が弱まり、ふたたびワクチンの接種が必要になる可能性も。また、インフルエンザなど、ほかの病気の予防接種をいつから開始していいかも、一部で臨床試験が始まったばかりで、結論は出せません」

 

ワクチンはコロナの感染リスクを大幅に下げてくれるが、接種後に自分が感染したり、人に感染させたりする可能性がゼロになるわけではない。

 

「コロナが収束するまでは、自分がワクチンを接種した後でも、ソーシャルディスタンスの確保やマスク着用は続けたほうがいいでしょう」

 

ワクチン接種後も感染対策を続けながら、少しずつ日常を取り戻していこう!

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