1年でもっとも光熱費がかかる冬。はたしてわが家は適正価格なのだろうか。まわりと比べてみようーー!
「原油や石炭、液化天然ガスの高騰が続く今年の冬は、光熱費が急増する可能性があります。手立てを講じることが重要です」
そう語るのは、ファイナンシャルプランナーで消費生活アドバイザーの丸山晴美さん。
大手電力会社10社の12月の電気料金は、11月と比較して、平均的な家庭で67~141円と軒並み値上げ。ガス料金も大手4社で月64~88円アップ。いずれも4カ月連続での値上げになった。
「今冬の光熱費は、例年より数千円増。2割近く増えたとしてもおかしくありません」(丸山さん)
家計が破綻しないためにも、節約が急務だが、そのためにはわが家の“暖房代”が高いのか、安いのかを知っておく必要がある。また、自分の住む地域の光熱費の特徴や傾向を知るのも大事なことだ。
一覧表(画像参照)は、総務省による「家計調査」から作成した、47都道府県庁所在地の2人以上世帯の冬の光熱費だ。
昨年12月から今年2月までの1カ月あたりの電気代、ガス代、灯油などの平均額を合算して、高い順に並べた。ぜひ、自分が住む都道府県の都市のものと、自分の家庭の光熱費を比べてみてほしい。
ランキングの上位は、やはり寒くて雪が多い北国の都市が占めた。
1カ月で3万円超えと、もっとも光熱費が高かった青森市の6人家族の主婦Aさん(46)が語る。
「エアコンでは青森の厳しい寒さをしのぐのは難しいです。火が見えないと暖かくなった気がしないから、つねに石油ストーブを使っています。家の外には200リットル入るタンクがあって、昨年の冬は2回入れたので、灯油代だけで約2万円。3人の子どもはそれぞれの部屋で電気ストーブや電気毛布を使っているし、熱帯魚用のヒーター代、洗濯機は毎日2回まわすうえに、冬はなかなか乾きにくいので衣類は乾燥機をかけるから電気代は月2万円近くに。光熱費を考えると頭が痛くなります」
冬でも平均気温が約17度の那覇市の光熱費がもっとも少ないのは納得できるが、神戸市も冬の平均が1万4,480円と安い。九州や四国などには神戸市よりも温暖な気候の都市があるのに……。
「神戸市は15階以上の集合住宅が多く、しかも集合住宅の比率が6割以上。つまりマンションに住んでいる人が多い。暖房効率は広い戸建てよりも居住スペースが狭いマンションのほうがいいから、光熱費が安く抑えられているのかもしれません」(地元紙経済部記者)
またこんな意見も。
「26年前に阪神・淡路大震災があり、電気やガス、水などのライフラインが途絶えました。その苦い経験から節電や節水の意識が高い人が多いような気がします」(神戸市在住のBさん・44歳)
気になるのが7位の富山市、10位の福井市、11位の金沢市の電気代の高さだ。
北陸電力はほかの電力会社と違って水力発電が中心。発電コストが抑えられ、電気の基本料金は安いという評判なのだが……。金沢市役所企業局の担当者が語る。
「電気代が安いこともあり、北陸電力はオール電化を勧め、金沢市での新築の7割はオール電化です。それまでは暖房や給湯にガスや灯油を使う家庭が多かったのですが、電気がとってかわったのです」
安いからといって、使いすぎにはご用心。