■物価は上がるが年金は減っていく……
こうした複雑な仕組みなどによって、年金減額が行き着く先はどこなのか。
平野さんは、厚生労働省が年金の将来の見通しを予想した「財政検証」にヒントがあるという。
「最新の財政検証(’19年)では、前述のようなモデル世帯の年金受給額は月22万円となっています。この金額が現役男子の平均月収に占める割合を表す所得代替率は、61.7%となっていました。しかし、財政検証ではこの所得代替率を維持することは困難で、将来的には約50%にまで落ち込むと想定しています」
現在のモデル世帯の平均月収で換算すると、年金受給額は月17万8,500円。現状よりも月4万円以上減額することになるのだ。
「さらに不安なのは物価が上昇していることです」
こう指摘するのは、節約アドバイザーの丸山晴美さんだ。
「昨今、原油、大豆や小麦などの穀物の高騰が続き、2月以降には、冷凍食品などの価格にも影響が出そうです」
今後も続くとされる、物価の上昇。年金受給世帯にとっては、入ってくるお金が減り、出ていくお金が増える状況が続くことになる。