「ある調査では60代の40%が『終活を始めたい』と思っているそうですが、実際に行動に移せている人は多くありません。それは、やることが多すぎて、どこから手をつけていいかわからないから。また、『終活』というと『エンディングノートをつける』『自分の財産を処分する』など、なんだか“人生の幕引き”というネガティブな印象があることもその理由かもしれません。ですが、じつは『終活』は、人生を最期まで自分らしく生きるためのポジティブな活動なのです。ほんとうに必要なモノ、やりたいことを取捨選択することで、これからの人生をより豊かにする。そのための『人生整理』だと考えてみてはいかがでしょう」
そう語るのは、生前整理普及協会代表理事の大津たまみさん。大津さんは、30年以上、片付けのプロとして1万件以上の現場で片付けや清掃法を指導してきた。
ここ数年、「終活」という言葉を耳にする機会が増えてきたが、まだどこかひとごとのようにとらえている人も多いことだろう。「人生整理」を始めるベストなタイミングは、夫の定年時や子どもの独立時。年齢に応じて順番に手をつけるとはかどるという。
ここでは、70代で具体的に「捨てる/残す」べきモノについて大津さんに教えてもらった。
70代になると、多くの人が「収入は年金だけ」という状態に。家計を赤字にしないために、過剰な物欲を捨てる必要があるという。
「使うことが決まっているモノだけを買うのが原則。特売品や安売りに飛びつくのはNG! はやりモノや、友達が持っているモノを欲しがらないようにしましょう」(大津さん・以下同)
また、認知能力が衰えてくる70代では、高齢者を狙った詐欺や交通事故が多発している。それらを回避するためにも、固定電話の解約や運転免許の返納を検討しよう。
さらに、こじれた人間関係に対する「心残り」や、煩雑な書類が必要になる銀行口座の解約も、70代のうちに対処しておきたい。