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「この時期は『トコジラミ』が急増します。個人宅だけでなく、宿泊施設、映画館、サウナ、飲食店をはじめ最近では病院や介護施設からの相談も増えており年間100件以上の被害が報告されています」(豊島区池袋保健所生活衛生課)

 

6~9月にかけて都市部を中心に爆発的に発生するというトコジラミ。東京都福祉保健局のデータでは、’09年以降、急激に相談件数が増加している。

 

「もともと日本にもいた虫ですが、昭和40年ごろからその数が減少。しかし外国人観光客の荷物に付いたものが日本に持ち込まれ、観光客の増加と比例するように、相談件数も急増。再び、日本に定着したトコジラミは繁殖し、現在も高止まりが続いている状況です。コロナ禍で規制されていた外国人観光客の受け入れが再開され、国内の旅行者も増える今夏は、さらなる被害の拡大が懸念されます」

 

そう語るのは害虫防除技術研究所代表で、医学博士の白井良和さん。

 

トコジラミは別名“スーパーナンキンムシ”とも呼ばれ、シラミではなくカメムシの仲間だ。成虫は5~8ミリの大きさで、色は褐色~濃褐色。何度も刺されると非常に強いかゆみが生じ、赤い斑点模様ができてしまう。

 

「トコジラミは、ベッドの隙間や裏、カーペット、カーテンの折り目、畳やソファの隙間、家具と壁の間などに潜んでいます。そして夜、人間が寝ている間に刺して吸血する。基本的に暗い時間帯に活動するので昼間は見つけにくいです。ふすまの四隅やカーテンなどに、黒く小さな血糞がいくつかあれば、その周辺にトコジラミがいると思ったほうがいいでしょう」(白井さん・以下同)

 

トコジラミは、洋服の上からは刺さず皮膚が露出している手や足、顔や首などを複数回刺すそうだ。

 

「就寝中に何日もかゆい日が続くと、トコジラミに刺されている可能性が。刺されたら市販の抗ヒスタミンの外用薬を塗布し、腫れが引かない、かゆみがひどい場合は皮膚科を受診してください」

 

自宅で刺されないためには、外出先からトコジラミを家に持ち込まないことが何より重要だという。

 

「不特定多数の人が集まる施設は要注意です。たとえば、旅行先で宿泊する部屋に入ったら、ベッドの裏や壁の四隅などに血糞がないかの確認を。チェックアウトする前にはカバンの中や、洋服に付いていないかを点検しましょう」

 

■服に付いていた場合は60度以上のお湯で駆除

 

メスは一生で500個ほど卵を産み、繁殖力が高いので放置は厳禁だ。もし家の中で見つけた場合、どのように駆除すればいいのか。

 

「一般の殺虫剤では効かないので、カーバメート系、オキサジアゾール系のトコジラミ用の殺虫剤を使いましょう。掃除機で吸い込むのが簡単でオススメ。吸い取ったらすぐにゴミと一緒にビニール袋に入れて、しっかり封をして捨てる。熱には弱いので、高温のドライヤーを当てて駆除するのも効果的だと思います」

 

洋服やシーツなどにくっついていた場合、洗濯しても死なないが、60度以上のお湯に5分つけると駆除できるそうだ。

 

ようやく規制が緩和されたこの夏。くれぐれも旅行先から持ち帰らないよう、ご注意を!

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