3千円の占いが8億円被害に…紀藤&山口広弁護士が解説「霊感商法の悪質手口」
画像を見る 昨年9月、統一教会の関連団体にビデオメッセージを送った安倍元首相

 

■まるで詐欺劇団チームで陥れる

 

「占いの勉強をしています」と訪れた統一教会の信者を家に招き入れたBさん(70代)。占い料として3000円を支払ったが、信者は「霊界で祖先が苦しんでいる」と(教会の施設である)霊場に誘導。

 

そこで霊能師から「このままでは夫の命はない」と脅され2300万円の「念珠」を購入。その後も次々と高額商品を購入させられた。その後、別の信者から、「象徴献祭」(献金にかわる献物)として自宅の不動産を担保に7億3000万円を銀行から借りることを強要。「きれいな家系にならないと子孫に早死や離婚が出る」と脅され、被害額は7億7000万円にのぼった。

 

「霊感商法では、資産をだまし取るため『声がけ係』『霊能師の係』『資産を調査する係』『評価する係』など10人くらいのチームが一丸となってマインドコントロールしてくる。相手の施設には絶対に行かないことが重要です」(紀藤弁護士)

 

■ 襲撃犯の母も…「家系図」で相続を把握する

 

夫に先立たれた医療事務パートのCさん(60代)。長男が直腸がんと診断された直後に、信者が布教に来て、「子孫の病気や不幸は先祖の因縁が原因」と、家系図を作成して家系や先祖について勉強することを勧められた。

 

その後、教会へ誘われ「夫と長男が地獄で苦しんでいる」と不安や恐怖心をあおられ続け入信、献金することに。パート年収160万円のCさんは「夫と長男を地獄から救うため」と保険を解約し、約2年間で約426万円を献金した。

 

「不幸や悩みがあると『原因は先祖の霊がとりついているからだ』などと不安をあおって家系図を作らせる。これは典型的な手口。相続人かどうかチェックして資産状況を調べ上げるためなのです。そう言われたら、必ず警戒を。山上徹也容疑者の母親も、家系図を書かされ、その後、多額の献金をさせられるようになったと報じられています」(紀藤弁護士)

 

■ネットが入口に霊感商法の最新手口

 

結婚するかどうか悩んでいたDさん(20代)が何げなく答えたネットのアンケート。回答してから数日後、「お礼として無料鑑定をします」とのメールを受け取る。

 

その後、電話がかかってきて「転換期の相が出ている」などと告げられ、直接会って鑑定してもらうことに。話し込むうちに「結婚してもうまくいかない。この開運の印鑑を授かるといい」と迫られ14万円で購入。

 

これをきっかけに入会金8万円を払いビデオセンター(自己啓発セミナー)に通うように。信者から「現在付き合っている男性と別れないと不幸になる」と長時間の説得。「合同結婚式以外の結婚は堕落である」と信じ込み、Dさんは恋人に別れを告げた。

 

「ネットやSNSなどで、アンケート調査と称したり、イベントを介在させたりするなど霊感商法の手口はさまざまありますが、人の弱みにつけこんで近づいてくることはまったく変わっていません。『自分だけは大丈夫』と思わずに高額の商品を売りつけてきたり、不安をあおってきたりするなど、おかしいと思ったら、弁護士に相談しましょう」(山口弁護士)

 

人生を狂わせる霊感商法には、弱みを見せないことが重要だ。

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