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うなぎ上りの電気代。東京電力では、電気使用量が平均的な家庭の8月分の電気料金は9118円に。昨年同月と比べると約3割もアップしている。家計を守るためには節電による電気代の削減が急務だが、その障壁となるのがこの異常な暑さだ。

 

「エコ検定」や「家庭の省エネエキスパート検定」の資格を持つ、消費生活アドバイザーの丸山晴美さんはこう語る。

 

「省エネというと、エアコンを使わない、家電の電源を切るなど“使わない節電”をイメージする人がいますが、夏は“使いながら節電”がポイントです。とくにエアコンは我慢して使わないでいると命にかかわることも。しっかり使用しながらも節電できる工夫を身につけましょう」

 

かく語る丸山さんの家の今夏の電気代は、昨年とほぼ同額だという。そんな丸山さんに節電のコツを教えてもらった。

 

■設定温度を上げた分自分の体を冷やす

 

夏の家庭内消費電力量で6割以上を占めているのが、エアコン、冷蔵庫、照明だ(グラフ参照)。いずれも使わずにはいられないものばかり。重点的に対策していくことが夏の節電術には効果的だという。

 

「わが家のエアコンは、設定温度を日中29度で、夜間や2~3時間の外出時には30度にして、ほぼ一日中つけています。快適な室温は人によって異なります。家の構造によって冷房効率も変わってきますが、基本は、自分が快適だと思える設定温度から1度上げること。それだけでも約10%の節電効果が期待できます。室温を上げないために、窓からの直射日光や熱気の流入を防ぐために遮光性や遮熱性の高いカーテンをひくことも忘れないでください」(丸山さん、以下同)

 

フィルターをこまめに掃除したり、室外機に日陰を作ったりするなどして、エアコンの稼働効率を高めることも重要だ。エアコンの設定温度を上げた分は、室内ではなく“自分を冷やすこと”を優先させること。

 

「家での衣服は、リネンや麻など通気性のよい素材を選んでいます。さらにエアコンと扇風機を併用して、人のいる位置に向けて送風することで体感温度はかなり下がる。さらに湿度の調節も見逃せないポイント。同じ室温でも湿度を40~60%にすれば、快適性が向上します。とはいえ除湿機を使うのはムダ。エアコンの機種によっては『弱冷房除湿』がありますが、冷房運転のほうが除湿効果はじつは高いんです」

 

室内の気温と湿度を快適な状態に保つためにも、温度計と湿度計はあったほうがいい。夏の冷蔵庫は、冷たい飲料を出し入れすることで消費電力がグングン上がってしまう。

 

「扉の開閉回数を減らすだけで、庫内の温度が上がらなくなるので、節電につながります。家族が飲むお茶などは朝に保冷ボトルに移しておくのも手。わが家では、自宅でも家族それぞれが『マイ水筒』を持ち歩いて、扉の開閉回数を減らすようにしています。また冷蔵室の詰めすぎは、余計な電力を消費します。買い物を3日に1度のペースにして、パンパンにならないようにするだけでも、年間1180円を節約できます」

 

忘れてはならないのが照明だ。

 

「今でも白熱電球を使っている場合は、消費電力や寿命で勝っているLEDに交換することをおすすめします。とくにリビングのように長時間使う場合はすぐにLEDに替えましょう」

 

すでに、節電を十分にしていた状態から、さらなる工夫で電気代の上昇分を抑えた丸山さん。これまであまり節電をしてこなかった家庭なら、こうした工夫で現状から約3割、平均的な家庭なら月2800円電気代を減らすことも容易だという。節電マップで無理のない電気代削減を実現しよう!

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