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9月20日「都道府県地価調査」で、地価の全国平均が3年ぶりに前年比で0.3%上昇したと発表されました。用途別に見ても、住宅地は31年ぶりに、商業地も3年ぶりに地価が上昇しています。

 

また首都圏では、新築マンションの平均価格が6510万円というデータも(22年上半期・不動産経済研究所)。庶民にとって、不動産は高根の花なのでしょうか。

 

そんななか、実は「0円物件」が増えています。0円物件とはおもに、相続したものの住む人がいない空き家で、固定資産税などを負担したくない、管理が大変などの理由で「タダでもいいから処分したい」物件です。空き家を放置し、倒壊の危険性があるなどの「特定空き家」に指定されると、固定資産税が最大6倍などのペナルティも。空き家の処置に悩む方は多いでしょう。

 

いっぽう、23年4月から不要な土地を国が引き取ってくれる「相続土地国庫帰属制度」が始まります。これが利用できれば売却に悩む方が減りそうですが、国に引き取ってもらう土地には建物がない、樹木がない、抵当権の設定がないなどの厳しい条件があり、さらに10年分の土地管理費用相当額も必要。これでは、相続物件の安売りや0円物件が増えるでしょう。

 

■不動産価格は今後下がると予想

 

0円物件は空き家バンクなどで探せます。地方に移住したい人やDIYが趣味で家を自分で修繕しながら暮らしたい人にはお得な物件もあるでしょう。

 

ただし、購入にはいくつか注意点があります。第一に、値段がつかない理由があるはずです。その理由を見極め納得し許容できるかを考えて。第二に、たとえ0円物件でも不動産を取得するには、不動産取得税など税金がかかります。諸費用や手続きなどもよく理解して。第三に、リフォームなどに資金が必要です。ゆがみや傾き、耐震強度不足などでリフォーム費用が高額になることも。購入前に、専門家に相談すると安心でしょう。

 

慎重に進めるなら、空き家の所有者と交渉し、まずは賃貸で“お試し居住”をしてみては。住んでみないとわからない事情なども納得してから決断したいものです。また、0円マンションについては、戸建て以上に注意してください。築古のマンションでは建物全体の修繕が必要ですが、修繕積立金の不足などで、思わぬ高額出費にみまわれることもあります。

 

18年の総務省の調査では、全国に約850万戸の空き家があり、空き家率は13.6%です。今後、人口は減少傾向ですから、どうしたって家は余ります。おそらく空き家はもっと増えていくでしょう。となると、中古物件が増え、値段が下がり、そのうち新築物件の価格にも影響を及ぼすでしょう。私は近い将来、不動産価格は下がるのではないかと思っています。ですから、慌てなくても大丈夫。不動産は額面の安さなどに惑わされず、長い目で検討してください。

経済ジャーナリスト

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