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4月から「給与デジタル払い」が解禁になりました。これまで給与の支払いは、現金か金融機関への口座振込みに限られていましたが、第3の選択肢として給与デジタル払いが登場。給与を○○ペイなどスマホ決済サービスを通して支払うものです。

 

ただ○○ペイなら何でもOKではなく、厚生労働大臣が指定した業者限定です。今のところPayPayや楽天ペイなどが申請していますが、審査には数カ月かかる見込み。4月解禁といっても、実際に始まるのは23年度中といったところでしょう。

 

給与デジタル払いと聞くと、まずセキュリティ面に不安を感じるのではないでしょうか。銀行は破綻しても、残高1千万円とその利息までを補償される安心感がありますが、給与デジタル払いができる指定スマホ決済業者にも補償に関する3つの取り決めがあります。

 

【1】残高の上限は100万円

指定業者によるスマホ決済の残高は100万円が上限です。100万円を超えた場合は、あらかじめ指定した銀行口座に送金されます。

 

【2】不正取引の被害は全額補償

口座の乗っ取りなど不正取引があった場合は、損失額全額が補償されます。ただし被害申請は発覚から60日以内など期限があるので、早めの届け出が大切です。

 

【3】口座残高は10年間払い戻し可能

最後の入金日から少なくとも10年間は払い戻しが可能。入出金などの動きがなくても、勝手に残高がなくなることはありません。

 

■4割以上の企業が実施の見込み

 

厚生労働省は給与の一部をスマホ決済へ、それ以外は銀行口座への入金を想定しているようです。スマホ決済をよく利用する方には、入金やチャージの手間がかからないこと、月の予算額を入金してそれ以上使わないことで、予算を守りやすいことがメリットでしょう。

 

しかし、給与全額がデジタル払いとなった場合は、各種引き落としのために銀行口座に送金したり、現金化も必要でしょう。送金や出金のたびに手数料が必要なら、給与が目減りする大きなデメリットです。手数料を確認しましょう。

 

22年12月のアンケートでは、給与デジタル払いを「利用したくない」派は49.4%で、「利用したい」派の32.6%を上回っています(紀尾井町戦略研究所)。

 

いっぽう給与デジタル払いを検討する企業へのアンケートでは、4割以上が実施の方向。理由は「銀行の振込み手数料を削減するため」が約6割でした(23年2月・エイチームライフデザイン)。今後、お勤めの企業でも導入が検討されるかもしれません。ですが、企業が給与デジタル払いを導入しようと思っても、従業員の同意なしでは進められない決まりです。利用したくない方は、断っていいことを覚えておいてください。

 

25年に開催される大阪・関西万博では、すべてキャッシュレス決済で現金を扱わないようです。給与を含め、キャッシュレス決済の今後の動きに注目しましょう。

経済ジャーナリスト

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