この夏も、食品をはじめ、物価の高騰が続く。6月1日からは一部の映画館で一般の鑑賞料金が2千円となるなど、値上げの波はレジャーのシーンにも及ぶ。
「50代では、子育ても一段落して自分の時間ができ、アクティブに過ごしたいけれど、老後資金を貯めなくちゃ、と考える人も多いです。あるいは夫が役職定年を迎えるにあたり収入減が予想され、できるだけ出費を抑えたいというケースも増えてくるころ。映画や鉄道、旅行などのレジャーでは50代が利用できる『シニア割』がありますから、積極的に利用を検討することをお勧めします」
そうアドバイスするのは、ファイナンシャルプランナーの小塚歩さん。
「シニア向け割引」と聞くと、60歳の還暦を過ぎてから、あるいは65歳で定年退職を迎えた年代からが対象、というイメージを抱くかもしれないが、じつは50代から利用できるサービスが多くある。シニアという響きに抵抗があるかもしれないが、出費を抑えられるのなら活用しない手はない!
小塚さんが注目するのは、映画の割引。イオンシネマは一般の鑑賞料金が1人通常1千800円のところ、55歳以上の人は1千100円で鑑賞できる「ハッピー55(G.G)」などのサービスがある。
「昨年来、光熱費や食品などさまざまな物価が上がって、一生懸命に節約を続けている人もいると思いますが、楽しみも必要です。毎月1日には1千100円で映画を見ることができる施設は多いですが、混雑することもあるため、いつでも割引きされた料金で利用できるのはお得です」(小塚さん、以下同)
さらに、夫婦のどちらかが50歳以上であれば、2人で2千200円で鑑賞できる「夫婦50割引」もある。夫とは映画の趣味が合わず、やはり友達と出かけたいという人は、MOVIX、T・ジョイなどが運営する映画館ならペアのどちらかが50歳以上で割引を受けられる。
ほかにも、カラオケ、JRや旅行サイトなどが50歳以上でサービスを実施している。
買い物で使えるシニア割も。玩具量販店の「トイザらス」「ベビーザらス」は、50歳以上でポイントカード会員になると、毎月15日に対象商品が10%引きになる「まご割」が使える。
対象の店舗で買い物をするたびに割引やポイント付与が受けられる電子マネーは、スーパーやコンビニごとに発行されているが、イオングループの電子マネー「WAON」には、55歳以上が対象のカード「G.G WAON」がある。このカードで毎月15日に買い物をすると、自動的に5%引きとなる。
「帝国データバンクの調べによれば、昨年値上げが実施された品目の平均値上げ率は14%。買い物の代金を10%抑えられるのは家計の大きな助けになります」
お得なシニア割だが、利用にあたっては注意点も。
「交通機関やレジャー施設ではシニア向けに割安な回数券を販売していることがありますが、これらを購入したものの、有効期限までに使いきれずにムダが出てしまった、という声も聞きます。割引サービスは1回あたりの金額が安いからとすぐに飛びつかずに、トータルでメリットがあるのか考えてから購入しましょう」
また、店舗やチケットを販売する窓口などで割引を受ける際には、年齢確認ができる身分証明書の提示を求められることがある。対象年齢やサービスの内容は変更されることもあるので、これらをホームページなどで事前にチェックしておくと安心だ。
お得な割引をフル活用して、家計負担増の波を乗り越えよう。