「息子依存とは、親による過保護、過干渉の延長で、子への執着心が強くなっている状態です。とくに、昨今は母親と息子に対するケースが多い。『息子のため』と思い込みながら、母親が息子を自分の思い通りにしようとしてしまうのです。
実は、長引く不況下で、息子を将来成功者にさせたいと思う母親が増えており、その結果息子依存の母親が増えています」
そう語るのは、児童相談所で19年間の勤務経験がある心理学者で家族問題カウンセラーの山脇由貴子さんだ。
「息子依存」という言葉が話題だ。
近年では、秋篠宮家の長女・眞子さん(32)と結婚した小室圭さん(32)と母・佳代さん(57)の関係をそう呼ぶメディアもあった。
圭さんの父・敏勝さんは’02年に亡くなったが、それ以来、佳代さんはカフェやケーキ店などで働き、1人息子であるに圭さんにバイオリンを習わせたり、中学・高校は学費の高いインターナショナルスクールに入れたりしてきたという。
「羽生結弦さん(29)が8歳年上のバイオリニストの女性と結婚発表してからわずか105日で離婚に至った際も、お母さんの“近すぎる関係”を要因だとする心ない声も上がっていました」(スポーツ紙記者)
彼らの関係が実際にどうだったかは別として、実は世間で「息子依存」に陥っているケースは少なくない。
前出の山脇さんが語る。
「一般的に、息子依存の母親は、自分にとって理想の王子様のように子供を育てようとします。成功者にしなければと、子供の意志を無視して、幼児教育や習い事をさせてエリートコースを歩ませようとする。一般的に、息子に依存しやすい母親は、プライドが高くて見栄っ張り。息子を特別な存在にすることで、自分も特別な存在になりたい、という考えも。自己愛や上昇志向が強く、現実から少しかけ離れている成功や理想であっても、強い信念があるから夢や理想を現実のものにするパワーもあるのです」(以下「 」内、山脇さん)
息子に期待をする、愛することは決して悪いことではない。ただ、“私の言うことを聞かないとダメになる”と心理的にコントロールしたり、周囲を巻きこんでしまったりするなど、息子に依存しすぎることが問題なのだ。そうした関係性は、将来的に息子に悪影響を及ぼすことが多い。
「息子依存する母親は、子に自分の悩みを吐露している場合が多い。そのため、息子は、母親の騎士になって守ろうとします。母親に嫌われたくないあまりに“完璧な息子”になるための努力も惜しまない。また母親の愛を一身に受けていることを感じていて、その愛に応えようとするため苦難さえ平気なのです。その結果、夢をつかむこともできますが、主体性がなく、何歳になっても自立できないままでいるケースも多いのです」
普通の親子ではありえないほど、濃密な時間をともに過ごしてきた母と息子。
心配なのは、母親に干渉されてきた子どもは、大人になってからも他者との関わりにおいて『支配する』か『支配される』という人間関係しか築けなくなるということだ。
「結婚しても相手と対等な関係を作ることができません。支配する側になれば、パートナーを騙したり、虐げたりしてでも自分の思い通りにする。あるいは結婚相手は、母親と同じように自分のサポートをして当然と考えてしまう。しかし、パートナーは決して相手の母親にはなれないし、それを求められるのは苦痛でしかありません」
また、息子に1点集中している息子依存の母親は、夫との関係が破綻したり、家族関係が崩壊したりするリスクもあるという。
母子ともにそんな状態になる前に、息子依存から脱却する方法はあるのだろうか?
「多くの場合は、思春期の反抗期をきっかけに息子から母親との距離をとりはじめます。反抗期は子どもが自立するチャンス。高校生や大学生になれば、自然に母と息子が一緒に過ごす時間が減ってきます。特殊な関係ではない限り、子どもが育てば、物理的に生活サイクルが違ってくるはず。さらに学校を卒業、結婚などで、息子依存は自然になくなっていきます」